明治恋奇譚 〜藤堂様、ミエテマスヨ!~
尚文は興味津々といった様子で、玲子に目を向ける。
「将吾様が、わたくしの実家に行ってくださって、滞在の許可を取ってくださったんです。それで、お世話になる間、お仕事をさせていただこうと。着物をお仕立てすることになりました」
「ああ、それでこの道具か。なるほど」
「はい。これから将吾様の採寸をさせていただこうかと」
「じゃあ、僕のも作ってくれる?」
尚文がさらりとお願いすると、将吾が思わず目を剥いた。
「おい……」
けれど、玲子は嬉しそうに即答する。
「はい、喜んでお引き受けいたします。わたくしでよろしければ、ぜひ」
『ほほう、なんだか楽しい事になったでござるな』
ふたりきりのときには気を利かせて姿を消していた一将が、尚文の登場に合わせてひょっこり姿を現す。
玲子は将吾の背後に立つ一将を見つけ、ポツリとつぶやいた。
「一将様にも、お仕立てができたら良かったのですが……」