フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
硬直していると、王妃は扇子を広げて口許をかくし、目を細めた。
「皆さん、お茶会を楽しんでくださいね。ご機嫌よう」
踵を返したヴィアトリス王妃を見送る私は、エドワード様に「リリアナ」と呼ばれるまで、動くことができなかった。
ヴィアトリス王妃の姿が見えなくなると、令嬢たちは一同ほっと安堵の吐息をついた。
「リリアナ様、気にすることはありませんよ」
「……え?」
ベンチに腰を下ろすと、横に座ったベルフィオレ公爵夫人が穏やかにいった。
「王妃様は、エリザ様のことを気に入っておられましたから。それで、あのようなことを仰られたのでしょう」
「エリザ様を……」
意外な話に目を見開くと、ベルフィオレ公爵夫人はエドワード様をちらりと見る。
「殿下とエリザ様の夫婦仲がよろしくないのを、心配されていたという話でございますわ」
「……そう、なのですか?」
「ええ。心配して、お部屋にお呼びになり、話をされたと聞いたことがあります」
「私も、聞いたことがありますわ。ずいぶんお気に入りで、夜もお茶に招いたとか」
ベルフィオレ公爵夫人の話に、令嬢たちが相槌を打った。
「皆さん、お茶会を楽しんでくださいね。ご機嫌よう」
踵を返したヴィアトリス王妃を見送る私は、エドワード様に「リリアナ」と呼ばれるまで、動くことができなかった。
ヴィアトリス王妃の姿が見えなくなると、令嬢たちは一同ほっと安堵の吐息をついた。
「リリアナ様、気にすることはありませんよ」
「……え?」
ベンチに腰を下ろすと、横に座ったベルフィオレ公爵夫人が穏やかにいった。
「王妃様は、エリザ様のことを気に入っておられましたから。それで、あのようなことを仰られたのでしょう」
「エリザ様を……」
意外な話に目を見開くと、ベルフィオレ公爵夫人はエドワード様をちらりと見る。
「殿下とエリザ様の夫婦仲がよろしくないのを、心配されていたという話でございますわ」
「……そう、なのですか?」
「ええ。心配して、お部屋にお呼びになり、話をされたと聞いたことがあります」
「私も、聞いたことがありますわ。ずいぶんお気に入りで、夜もお茶に招いたとか」
ベルフィオレ公爵夫人の話に、令嬢たちが相槌を打った。