フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
「……おかしな格好をしているでしょうか?」
「そんなことはないよ。よく似合っている」
大きな手が差し出された。
一ヶ月前は、この手を取るのもなれずに困惑したけど、今は慣れたもの。
「こんなに愛らしい貴女をエスコートできるとは、光栄です」
「……相変わらず、口がお上手ですこと」
「ははっ、相変わらず手厳しい。そんなところも、リリアナのいいところだな」
「褒めても、何も出ませんわよ」
「それは残念だ。では、今日は──」
エドワードの手に指をのせると、彼はいつものように私の指を腕へと導かなかった。代わりに、指を絡めるようにして握りしめた。
「──!? エドワード様、なにをっ」
「今日は王弟とその妃ではなく、下級貴族の夫婦だよ、リリアナ」
「なっ、なっ、なにを急に……」
「そういう設定だ。私は早くに妻を失い、若い妻を新しく迎えた。寂しい日々に現れた花に夢中な男が、愛しい女を甘やかしてデートをする」
戯れとしか思えない言葉が並んだ。
その言葉通りに私たちの姿を思い浮かべてしまい、とたんに恥ずかしさが増した。
「そんなことはないよ。よく似合っている」
大きな手が差し出された。
一ヶ月前は、この手を取るのもなれずに困惑したけど、今は慣れたもの。
「こんなに愛らしい貴女をエスコートできるとは、光栄です」
「……相変わらず、口がお上手ですこと」
「ははっ、相変わらず手厳しい。そんなところも、リリアナのいいところだな」
「褒めても、何も出ませんわよ」
「それは残念だ。では、今日は──」
エドワードの手に指をのせると、彼はいつものように私の指を腕へと導かなかった。代わりに、指を絡めるようにして握りしめた。
「──!? エドワード様、なにをっ」
「今日は王弟とその妃ではなく、下級貴族の夫婦だよ、リリアナ」
「なっ、なっ、なにを急に……」
「そういう設定だ。私は早くに妻を失い、若い妻を新しく迎えた。寂しい日々に現れた花に夢中な男が、愛しい女を甘やかしてデートをする」
戯れとしか思えない言葉が並んだ。
その言葉通りに私たちの姿を思い浮かべてしまい、とたんに恥ずかしさが増した。