フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 ダリアさんに送られ、メイン通りに戻った。
 私の手はエドワード様に、しっかり握られている。
 手を引かれ、石畳をゆっくり進んだ。並ぶ店舗を眺め、時に足を止めた。

「ここは本屋ですか?」
「本と絵画の店だな」
「……肖像画でございますか? お屋敷に画家を招いて描かせるのではなく、ここで絵を買うのですか?」
「肖像画もあるが、風景画や宗教画、歴史画。ここでは、若い画家の絵を売っているんだ」
「旦那様も、ここで買われたことがあるのですか?」

 何気なく尋ねると、エドワード様は私の耳に唇を寄せた。

 こそこそと小声で「私は美術に疎くて……正直、なにを買えばよいのやら」というと、手に持っていた小さな額縁を元の場所に戻した。

「まあ……私もよくわかりません」

 二人で顔を見合わせ、店主が声をかけてくる前に、笑いながら店の前を通り過ぎた。
 その後は、リボンや刺繍、スカーフを売るお店をすぎ、花屋、雑貨屋──たくさんのお店を巡った。
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