フェルナンドの薔薇は王弟殿下の愛で輝く~政略結婚で人族に嫁いだ魔族令嬢は、王弟殿下の優しさで愛を知る~
 お客さんで賑わっている店もあれば、ひっそりとしている店もある。閉店と書かれた札がかかる店もあった。

「ここは帽子屋ですか?」
「そうだな……丁度いい、新しい帽子を買おうか」
「……え?」
「この帽子は、だいぶ日に焼けている。せっかくだ、買っていこう」
「で、でも……」
「ほら、これなんてどうだ?」

 エドワード様は、愛らしい黄色い花があしらわれた帽子を手に取り、私を振り返る。

「……私には、そのように可愛らしい帽子は似合いません」
「そんなことはない。今日のドレスも──」

 いいかけたエドワード様が、ハッとして「ああ」と呟く。
 今着ているドレスが、私のものではないと気付いたのだろう。

 せっかく買って頂いても、このドレスに合わせて買ったら、二度とその帽子は身につけられない。

「飾るために買うのはもったいないです」

 いいながら、胸がチクリと痛む。
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