学園天国!!ホクロ様!!

ぬくもりの記憶

夜。
布団の中で、イナは目を閉じたまま胸に手をあてた。
あの瞬間——松本先輩の腕の中で感じた鼓動と、やわらかな体温。
思い出すたびに、胸が熱くなって息が苦しくなる。

「……どうして、あんなこと」
呟いてから気づく。
「あっ、マサキ‥‥」

(昼休み、中庭にいたのかな……帰り、待ってたかな?置いて帰っちゃった)

スマホを手に取って通話ボタンを押す。
すぐにマサキの声がした。

『おせーよ。心配したんだぞ。』

その声音に、思わず笑ってしまった。
「ごめん、ちょっと色々あってさ」

『まったく……。お前、ほんとトラブルメーカーだよな』

「うるさいなぁ。でも……ありがと」

短いやりとり。
けれど、通話を切ったあとも耳に残るマサキの声が、
不思議と安心をくれた。

(やっぱり、マサキの声、落ち着く……)

頬がゆるんだまま、イナは眠りに落ちていった。
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