コミュ障な元ヤンくんに今日も溺愛されてます。
最初に腹を殴られ、うずくまっていた男が
気絶した男を担いでその場から逃げ出した。
私は匡が二人を追いかけるんじゃないかとひやひやしたけれど、それはなかった。
「帰るぞ。」
何事もなかったかのように、再び歩き出す匡。
「な、慣れてるの!?」
雰囲気を壊したくて、私はあえて大きい声で聞いた。
「こういうの…。」
「まぁ。」
「そうなんだ…」
「なに?怖くなっちゃった?」
そう言って、私を振り返った瞳に
もうさっきみたいな怖さは感じなかった。
そのことに安心する。
「き、匡は!"元"ヤンなんだよね??」
「そうだよ。」
自信たっぷりに言い切る匡に、
それ以上何も言えなくなる。
「帰るぞ。都。」
「…うん。」
初めて匡が元ヤンだということを本当の意味で知った日になった。
そして、ケンカするときの匡の目が少し怖いということも…。
「ネットに書いてある"友達の作り方"って
たいてい役に立たねぇんだよな。」
「…検索したの?」
「悪いかよ。」
「…。」
「話題の引き出しも役に立つの
ネットにあればいいけど。」
「アハハッ、そうだね!」
元ヤンだったとしても、今の匡と話しているのが私は楽しい。
たとえ今までの経験や価値観がちがくても、
私はまだ頑張る匡のそばにいたい。
私は駆け足で匡のとなりに並び、
再び一緒の帰り道を辿った。