それも、初恋。。
「こんなこと言ったら性格悪いと思われるだろうけど、私、コウタ君の彼女が普通ってことが……とてもショックだったの」
「……」
無言の私に桜井さんが続ける。
「その子ね、友達の話によると、少なくとも中学生の頃はクラスで地味目の目立たない子だったらしくてね」
「……高校デビュー、とかですかね」
「そうか。そうだったかもしれないわね」
それは思いつかなかったわと、感心したように頷いた後、桜井さんは複雑な表情で苦く笑った。
「とにかくね、その時の私はコウタ君の彼女が普通の子だったってことに酷くショックを受けたの。私と同じ普通の子だったって思ったら……言葉で言い表せないくらいすごくすごく、後悔したのよ」
「……」
桜井さんの薄い色の瞳が私をのぞき込む。
何かを探るように。あぶりだすように。
そこに、私が映っていた。もんやりと。
「毎日毎日、何度も何度も後悔したわぁ。あともう少しだけ、あともう少しだけ私が勇気を出して『付き合ってください』って言えていたら、もしかしたらコウタ君の彼女になれたかんじゃないかって。もちろん、違うかもしれない。でもちゃんとフラれていないから、その『もしかしたら』の気持ちばかりが募って、頭から離れなかった」
そう言って私をのぞき込みながら、桜井さんは、慈愛に満ちた微笑みを浮かべたのだった。
「……」
無言の私に桜井さんが続ける。
「その子ね、友達の話によると、少なくとも中学生の頃はクラスで地味目の目立たない子だったらしくてね」
「……高校デビュー、とかですかね」
「そうか。そうだったかもしれないわね」
それは思いつかなかったわと、感心したように頷いた後、桜井さんは複雑な表情で苦く笑った。
「とにかくね、その時の私はコウタ君の彼女が普通の子だったってことに酷くショックを受けたの。私と同じ普通の子だったって思ったら……言葉で言い表せないくらいすごくすごく、後悔したのよ」
「……」
桜井さんの薄い色の瞳が私をのぞき込む。
何かを探るように。あぶりだすように。
そこに、私が映っていた。もんやりと。
「毎日毎日、何度も何度も後悔したわぁ。あともう少しだけ、あともう少しだけ私が勇気を出して『付き合ってください』って言えていたら、もしかしたらコウタ君の彼女になれたかんじゃないかって。もちろん、違うかもしれない。でもちゃんとフラれていないから、その『もしかしたら』の気持ちばかりが募って、頭から離れなかった」
そう言って私をのぞき込みながら、桜井さんは、慈愛に満ちた微笑みを浮かべたのだった。