それも、初恋。。

　そうやって、あっけなくフラれた直太がその後、４人の女子との失恋を経験したころ、俺らは春園中学校に入学した。

　直太と俺は1組。またもや同じクラスだった。
　少子化で統合に次ぐ統合の進んだマンモス中学で、またもや同じクラスって確率的にどうなの？　と、先生たちの陰謀論を疑う。
　まあ、そんな陰謀に何の得もなさそうだけど。

「いやぁ～。今年も同クラ記録更新だなぁ～。あ、どもども～。オレ立木直太っす。んで、こっちは橘秋人。こいつ小学校ではみんなに橘って呼ばれてたから、橘って苗字で呼んでやってー。オレは直太って名前で呼んでねー、名前で！」

　秋人には悪いが今年こそ彼女作りたいから卑怯な策に出るぞと、直太が言ってきた策がこれだった。

　どこが卑怯なんだかわかんないことを卑怯と思っている辺り、つくづくお人よしなヤツだ。
　マジで、彼女できるといいなと思う。

　親友の自己紹介を横目に、何気なくクラスに視線を巡らせて、「あ」と思わず声が出た。