それも、初恋。。

第二の直太宣言

 中2と中3は、直太とクラスが離れた。
 そして入れ替わるように中学の3年間、俺は泉と同じクラスになったのだった。

 中2の新学期、廊下に張り出されたクラス編成を見た直太が「ぐがぁ~、とうとう俺の橘君の親友ポジを汐見が本気でかっさらいにきたぁ~」と叫び、泉が「ふっふっふ、いつかお前を引きずり降ろして、私が真の直太になる!」と悪乗りしたことで、泉は一部の男子から「第二の直太」というあだ名で呼ばれるようになり、本人はその可愛さの欠片もないあだ名を何故か気に入っているようだった。

 その第二の直太の泉に頼まれて、俺は時々、よく知らない女子とか、あんまり親しくない女子とかとSNSのアカウントを交換した。
 泉からアカウント交換の打診を受けた時点で、コクられるんだろうなと面倒な気分になるけど、前に直太に言われた「思春期の女子はいろいろめんどくせー」と「断れねーのがオレと汐見なんだよなー」ってのが頭に刺さっていた。 

 せめて巻き込んでしまった泉の評価が悪くないように、なるべくやんわりとメッセのやり取りをして、できる限り優しく匂わせ告白を匂わせで断るように心がけた。
 それでも結局、フラれた女子のフォローを泉がしていると、恋愛話において情報網な直太から聞いて、そこはマジで申し訳ないと思っていた。
 できれば、泉に謝りてーけど……。
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