サイコロ・エッジ
午後6時50分。

約束の時間まであと10分。


豊洲の寂れた倉庫街に立ち尽くしている自分を客観的に見ると、滑稽だ。


なぜ逃げなかったのか?

なぜこの場所に来たのか?


恐怖と興味が混ざり合い、足が動かない。




裏口の鉄扉が軋んだ。

黒いスーツの男が現れる。

八木だ。

鋭い眼光を放っていた。


「時間厳守だな」


低い声が響く。


「佐竹さんは忙しい。代わりに俺が説明する」


八木が金属製の箱を見せた。


「これが貴様の返済額だ。額は450万円。そして……」


黒いファイルを開く。

そこには『黒煙エンタテインメント主催 サイコロ・エッジ』と書かれた文書が挟まれていた。


「……命懸けのゲームに勝てば借金チャラ。負ければ……察しろ」


八木の薄気味悪い笑み。


「希望があると思えよ?少なくとも生き延びる選択肢は残ってるんだからな」


重い扉の向こうから聞こえる機械音。

どこか遠くで何かが始まる予感がした。
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