うちの生徒会長は今日も読めない




惚れた女と家族になれた、というそれだけで満たされていた。


ただ唯一の気がかりは、同じ空間で生活してなお、敬人が心を開く気配がないこと。

やはり嫌われているという感じではないのだが、どこまでも秋螺に対して無関心だった。


どうにか会話をしようと試みたり、気を引くために贈り物をしてみたりと色々と試したが駄目だった。


そのことを愛美に相談すると、彼女は心底面倒そうな表情を浮かべて言った。




「あの子は昔から誰に対してもあんな感じよ。どうせ学校でも孤立しているんでしょう。気にすることないわ」




結婚して一年近く経って、ようやく秋螺は愛美の息子への態度に違和感を覚えるようになった。

息子のことを愛しているという割に、彼女は敬人のことを知らない。



秋螺のは何度か、下校中の敬人を見かけたことがある。敬人はいつも誰かしらと一緒にいた。あのような冷めているというか、達観した態度は同級生の少年少女には大人びて格好よく見えるのだろう。

孤立しているどころか、むしろ人気者の部類だ。


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