見上げた星空に、奇跡が降る
30 窓の向こうを伝えたくて
―迷い猫―
オリオンからの返事を読み返す。
=また静かな夜があったら、どんなふうに感じたか教えてください=
たった一行なのに、胸の奥に小さな火がともる。
まるで「あなたの感じた世界を、僕にも見せてほしい」と言われたようで、少しだけ誇らしい気持ちになった。
私は今まで、夜空や街の音を誰かに伝えようなんて思ったことはなかった。
窓の外を見るのは、ただ時間をやり過ごすためで、そこに意味なんてないと思っていた。
でも…………彼が興味を持ってくれるなら、もっといろんな景色を見てみたい。
もっと、言葉にできる感覚を集めてみたい。
ふと、カーテンの端を指でつまむ。
あの先には、もっとたくさんの風景が広がっているはずだ。
虫の声や、夜の匂い、冷たい空気の感触……窓の隙間から届くわずかな情報だけじゃなく、自分の足で確かめられたら。
頭の中に「外に出てみる」という言葉が浮かんだ瞬間、心臓がどくんと音を立てた。
今まで考えもしなかったこと。
怖さと同時に、ほんの少しの期待が混ざる。
すぐに実行できる自信はない。
でも、もしできたら…………その時はきっと、真っ先に彼に伝えよう。
その景色を、オリオンに見せたい。
誰かのために自分が何かをしてあげたい……。
そんなことを思ったのは、生まれて初めてだった。
オリオンからの返事を読み返す。
=また静かな夜があったら、どんなふうに感じたか教えてください=
たった一行なのに、胸の奥に小さな火がともる。
まるで「あなたの感じた世界を、僕にも見せてほしい」と言われたようで、少しだけ誇らしい気持ちになった。
私は今まで、夜空や街の音を誰かに伝えようなんて思ったことはなかった。
窓の外を見るのは、ただ時間をやり過ごすためで、そこに意味なんてないと思っていた。
でも…………彼が興味を持ってくれるなら、もっといろんな景色を見てみたい。
もっと、言葉にできる感覚を集めてみたい。
ふと、カーテンの端を指でつまむ。
あの先には、もっとたくさんの風景が広がっているはずだ。
虫の声や、夜の匂い、冷たい空気の感触……窓の隙間から届くわずかな情報だけじゃなく、自分の足で確かめられたら。
頭の中に「外に出てみる」という言葉が浮かんだ瞬間、心臓がどくんと音を立てた。
今まで考えもしなかったこと。
怖さと同時に、ほんの少しの期待が混ざる。
すぐに実行できる自信はない。
でも、もしできたら…………その時はきっと、真っ先に彼に伝えよう。
その景色を、オリオンに見せたい。
誰かのために自分が何かをしてあげたい……。
そんなことを思ったのは、生まれて初めてだった。