私は‪✕‬‪✕‬を知らない I
この探究心を秘めた瞳を私は知っている。


「くく、分かるか?」


よーく分かる。お前と同じ目をしたやつを近くで見続けてきたのだから。


・・・良くないな。私はこういった目に心底弱いらしい。どうしたって顔を背けることができないんだ。


必然とばかりに2人の顔が近づく。それはもう唇が触れ合う距離までになっていて─────────、





「ストーップ!!2人とも何しちゃってんの!?俺達の存在忘れてない!?」





聞き覚えのある声が響き体は大袈裟なほど飛び跳ねる。


わ、私は何を・・・。


はじめてみた笑みは消え先程までの無表情に戻っていた。


そんな皇とは対照的に自分の顔が熱を帯びていくのを感じる。私は出会ったばかりの奴らの前でなんてことを・・・!


いやいやそもそもなんで皇はこんな事したんだ!?


いくら考えても答えは出ず、いつまでも私の腰に手を回した格好のままでいるこいつに羞恥心はとうに超え怒りさえ湧いてきた。


「こんのっ、」


わなわなと込み上げるこの感情は落ち着くことはなく、


その整った顔の額に向かって、


自分の額を、





「変態野郎ッ!!!!!」





打ち付けた。


そう、頭突きである。


こいつと離れるために手段なんざ選べなかった。


「〜っ、ゴリラかお前はっ、」


額を抑えながら額を抑えるこいつを睨みつけながら素早く荷物を持って立ち上がる。


すました顔に一発くれてやったんだからもういい。
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