魔法で恋を操る女になった私は、すべてを奪った帝国に復讐する
6話 断罪と嘲笑
「リシェル・ノア。共謀の疑いにより、国外追放とする」
私は目を見開いた。
共謀? 証拠もなく?
ただ、“傍にいた”というだけで?
衛兵たちの手が私の腕をつかむ。
抗議も、否定も、叫びも、すべてかき消されていく。
「違う、私は‥‥私は何もっ!」
だけど、誰も耳を傾けてくれなかった。
目を背ける人々。見て見ぬふりの同僚たち。
私の肩に重く乗った鎖だけが、“罪人”としての烙印をはっきりと物語っていた。
そのまま、私は城門まで引き立てられる。
鎖が引きずるたびに、足元の石畳に金属音が響いた。
通りの人々が私を指差して笑った。
「魔導師様の恋人らしいよ」「罰が下ったな」「ざまあみろ」
そんな言葉が、耳にこびりついて離れない。
振り返れば、石造りの階段の上に立つ二人の姿。
黄金の髪をなびかせながら、ディラン王子とエヴァリン王女が私を見下ろしていた。
冷たい瞳で、何も言わずに、ただ見ていた。
そして、王子が口を開いた。
「愚か者の末路は、いつだって哀れだな」
その唇に、明らかな笑みが浮かんでいた。
それは勝者の笑みだった。
私たちの無力と、敗北と、人生の終わりを前にしてなお、
踏みにじることを楽しむ者の――勝ち誇った微笑みだった。
胸が裂けるように痛かった。
涙は出なかった。
あまりにも深い悔しさに、感情は凍りついていた。
馬車を降ろされたのは、国境にほど近い、人気のない森の入口だった。
見張りの兵士は無言で馬車を来た道へと戻し、振り返ることなく立ち去っていった。
私はぼろ布のような外套をかぶり、湿った道を歩き出す。
誰も見ていない。誰も助けてはくれない。
彼の処刑台での静かな横顔が、何度もまぶたに浮かんでは消えていく。
一体、私が‥‥彼が何をしたと言うのだろうか。
彼が傾国の魔女の研究をしていたという理由だったけど、それはこじ付け。
今まで認められてきたのが王子の公布で急にそんな事になった。
彼と仲が良かったはずなのに‥‥そんなに王位につきたいの? 彼はそんなものに興味なんてなかった。
それに王女エヴァリン。アレクシスが好きだったはずなのに、彼に拒絶された途端に、こんな事を‥‥。
私は目を見開いた。
共謀? 証拠もなく?
ただ、“傍にいた”というだけで?
衛兵たちの手が私の腕をつかむ。
抗議も、否定も、叫びも、すべてかき消されていく。
「違う、私は‥‥私は何もっ!」
だけど、誰も耳を傾けてくれなかった。
目を背ける人々。見て見ぬふりの同僚たち。
私の肩に重く乗った鎖だけが、“罪人”としての烙印をはっきりと物語っていた。
そのまま、私は城門まで引き立てられる。
鎖が引きずるたびに、足元の石畳に金属音が響いた。
通りの人々が私を指差して笑った。
「魔導師様の恋人らしいよ」「罰が下ったな」「ざまあみろ」
そんな言葉が、耳にこびりついて離れない。
振り返れば、石造りの階段の上に立つ二人の姿。
黄金の髪をなびかせながら、ディラン王子とエヴァリン王女が私を見下ろしていた。
冷たい瞳で、何も言わずに、ただ見ていた。
そして、王子が口を開いた。
「愚か者の末路は、いつだって哀れだな」
その唇に、明らかな笑みが浮かんでいた。
それは勝者の笑みだった。
私たちの無力と、敗北と、人生の終わりを前にしてなお、
踏みにじることを楽しむ者の――勝ち誇った微笑みだった。
胸が裂けるように痛かった。
涙は出なかった。
あまりにも深い悔しさに、感情は凍りついていた。
馬車を降ろされたのは、国境にほど近い、人気のない森の入口だった。
見張りの兵士は無言で馬車を来た道へと戻し、振り返ることなく立ち去っていった。
私はぼろ布のような外套をかぶり、湿った道を歩き出す。
誰も見ていない。誰も助けてはくれない。
彼の処刑台での静かな横顔が、何度もまぶたに浮かんでは消えていく。
一体、私が‥‥彼が何をしたと言うのだろうか。
彼が傾国の魔女の研究をしていたという理由だったけど、それはこじ付け。
今まで認められてきたのが王子の公布で急にそんな事になった。
彼と仲が良かったはずなのに‥‥そんなに王位につきたいの? 彼はそんなものに興味なんてなかった。
それに王女エヴァリン。アレクシスが好きだったはずなのに、彼に拒絶された途端に、こんな事を‥‥。