転生小説家の華麗なる円満離婚計画
ヘンリックはそんなカリナを荷物のように肩に抱え上げ、私と並んでに広間に足を踏み入れた。
夜会の時は大勢の人で賑わっていた広間だが、今は外から取り囲まれているだけで中には私たちしかいないので、がらんと静まり返っている。
広間の中央あたりでヘンリックは立ち止まり、カリナを床に下した。
冷たい床の上で芋虫のように暴れている彼女に目もむけず、彼は私の手をとった。
「リサ。私はマリアと二人で幸せになる。
きみたちも、仲良くね」
「ええ、わかってるわ。
元気でね、私の仮初の旦那様」
彼は私とカリナを残し、広間の外にいる第二王子殿下の元へと去っていった。
それを見送ってから、私は余裕の笑みを浮かべて床のカリナを見下ろした。
彼女は恐怖に顔をひきつらせながらも私を睨んでいる。
「もうすぐ魔王様がいらっしゃるわ。
ふふふ、楽しみね」
「んんんんん~~!」
ふわりと周囲の空気が動くのを感じた。
さあ、くるぞ。
そう思った次の瞬間、なにもない空中に黒い裂け目が現れ、そこからブワッと黒い靄が勢いよく噴き出した。
広間の外から騎士たちが警戒する声が聞こえる。
黒い靄は一度広間を埋めつくすほどに広がってから、するすると収斂し私の目の前で塊になると、その中からぬっと魔王のコスプレをしたエルヴィンが姿を表した。
夜会の時は大勢の人で賑わっていた広間だが、今は外から取り囲まれているだけで中には私たちしかいないので、がらんと静まり返っている。
広間の中央あたりでヘンリックは立ち止まり、カリナを床に下した。
冷たい床の上で芋虫のように暴れている彼女に目もむけず、彼は私の手をとった。
「リサ。私はマリアと二人で幸せになる。
きみたちも、仲良くね」
「ええ、わかってるわ。
元気でね、私の仮初の旦那様」
彼は私とカリナを残し、広間の外にいる第二王子殿下の元へと去っていった。
それを見送ってから、私は余裕の笑みを浮かべて床のカリナを見下ろした。
彼女は恐怖に顔をひきつらせながらも私を睨んでいる。
「もうすぐ魔王様がいらっしゃるわ。
ふふふ、楽しみね」
「んんんんん~~!」
ふわりと周囲の空気が動くのを感じた。
さあ、くるぞ。
そう思った次の瞬間、なにもない空中に黒い裂け目が現れ、そこからブワッと黒い靄が勢いよく噴き出した。
広間の外から騎士たちが警戒する声が聞こえる。
黒い靄は一度広間を埋めつくすほどに広がってから、するすると収斂し私の目の前で塊になると、その中からぬっと魔王のコスプレをしたエルヴィンが姿を表した。