転生小説家の華麗なる円満離婚計画
「伯爵家を出るのは、俺たちにとっても悪いことではない。
おまえの嫁入り先が見つかるかもしれないしな」
「もう、お兄様ったら。
私はず~っとお姉様と一緒にいるって、いつも言っているではありませんか。
結婚なんか興味ありません!」
伯爵様に見捨てられ、俺はともかくマリアンネは深く傷ついた。
小さい頃はそうでもなかったのだが、お嬢の男嫌いに引っ張られてマリアンネも男と見れば警戒するようになってしまった。
兄としてはできれば結婚して幸せになってほしいと思いつつも、本人がそれを望まないならしかたがない。
これまで通り、お嬢と三人で暮らしていけばいいだけだ。
三年なんてあっという間だ。
その後で、柵から開放されたお嬢を俺のものにするのだ。
と思っていたのだが、いざお嬢が契約結婚してみると、マリアンネとヘンリックが恋人になるという驚くべき展開が待っていた。
ヘンリックはお嬢の相手としては論外であるものの、妹の相手とするなら悪くない。
地位も力も金もあり、なにより心からマリアンネを愛しているのだ。
お嬢は二人を祝福し、俺も同じように祝福しながらも次は俺の番だと自分に言い聞かせていた。
ヘンリックと妹が愛を育んでいるのを横目に、俺はお嬢と話し合いながら円満離婚後の綿密な計画をたてていた。
明るい未来に、俺たち全員が希望に胸を膨らませていたのだ。
それなのに、四人での穏やかながら楽しい生活がもうすぐ終わりに近づいてきたころ、自称聖女に俺たちの計画は引っ掻き回されてしまった。
もちろんそれにも腹が立ったが、自称聖女が前世のお嬢を殺した女だと知らされて、怒りに目が眩みそうになった。
もしお嬢の計画が上手くいかなかったら、俺の考えうる最も残酷な死を与えてやろう。
そう思っていたのだが、やはりお嬢は俺より一枚上手だった。
エグいというかなんというか……あんなことを思いつくお嬢を、俺はもっと好きになってしまった。
俺はお嬢の指示通り、自称聖女におまけをつけて元の世界に送り返してやった。
その後どうなったのかという結末を見届けることができないのは残念ではあるが、もうアレに煩わされることがないと思うといい気分だった。
おまえの嫁入り先が見つかるかもしれないしな」
「もう、お兄様ったら。
私はず~っとお姉様と一緒にいるって、いつも言っているではありませんか。
結婚なんか興味ありません!」
伯爵様に見捨てられ、俺はともかくマリアンネは深く傷ついた。
小さい頃はそうでもなかったのだが、お嬢の男嫌いに引っ張られてマリアンネも男と見れば警戒するようになってしまった。
兄としてはできれば結婚して幸せになってほしいと思いつつも、本人がそれを望まないならしかたがない。
これまで通り、お嬢と三人で暮らしていけばいいだけだ。
三年なんてあっという間だ。
その後で、柵から開放されたお嬢を俺のものにするのだ。
と思っていたのだが、いざお嬢が契約結婚してみると、マリアンネとヘンリックが恋人になるという驚くべき展開が待っていた。
ヘンリックはお嬢の相手としては論外であるものの、妹の相手とするなら悪くない。
地位も力も金もあり、なにより心からマリアンネを愛しているのだ。
お嬢は二人を祝福し、俺も同じように祝福しながらも次は俺の番だと自分に言い聞かせていた。
ヘンリックと妹が愛を育んでいるのを横目に、俺はお嬢と話し合いながら円満離婚後の綿密な計画をたてていた。
明るい未来に、俺たち全員が希望に胸を膨らませていたのだ。
それなのに、四人での穏やかながら楽しい生活がもうすぐ終わりに近づいてきたころ、自称聖女に俺たちの計画は引っ掻き回されてしまった。
もちろんそれにも腹が立ったが、自称聖女が前世のお嬢を殺した女だと知らされて、怒りに目が眩みそうになった。
もしお嬢の計画が上手くいかなかったら、俺の考えうる最も残酷な死を与えてやろう。
そう思っていたのだが、やはりお嬢は俺より一枚上手だった。
エグいというかなんというか……あんなことを思いつくお嬢を、俺はもっと好きになってしまった。
俺はお嬢の指示通り、自称聖女におまけをつけて元の世界に送り返してやった。
その後どうなったのかという結末を見届けることができないのは残念ではあるが、もうアレに煩わされることがないと思うといい気分だった。