贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。

1.夫の裏切り

王国歴732年11月25日

降り注ぐ光を集めたような金髪をした美しい男性が、私を愛おしそうに見つめていた。
少し憂いを帯びた熱っぽいアメジストの瞳には、世界一幸福な女が映っている。
女として産まれて来たのなら、彼に恋しないのは女じゃないと言われるような男だ。

───私は今日、最愛の男と二度目の結婚をする。

「オスカー・アベラルド。そなたは、シェリル・ヘッドリーを妻とし、病める時も、健やかな時も、貧しい時も、豊かな時も、喜びあっても、悲しみあっても、死が2人を分つまで愛を誓い、妻を想い添うことを、神聖なる婚姻の契約の元に、誓いますか?」
 
目の前に立つ麗しい男が私に微笑みかけている。
「はい、誓います」
 
「シェリル・ヘッドリー、そなたは、オスカー・アベラルドを夫とし、病める時も、健やかな時も、貧しい時も、豊かな時も、喜びあっても、悲しみあっても、死が2人を分つまで愛を誓い、夫を想い添うことを、神聖なる婚姻の契約の元に、誓いますか?」

瞬間、自分が夢を見ているのだと思った。

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