贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
城が買えるレベルの高価なティアラを被ることで、自分の富と権力を見せつけたのだ。

その高価なティアラは王族しか入れない秘密の場所で厳重に保管されている。僕は自分が王位継承した際には、僕の裁量でそのティアラをシェリルに被せる予定だった。

ピンクダイヤモンドの石言葉は『完全無欠の愛』。僕の気持ちをシェリルに伝えるのに、これ程ふさわしいものはないと考えていた。僕たちの愛の証になる品が今日怪盗ロンドに狙われている。

僕は急ぎ近衛騎士団長のランスロットを呼び、信頼でき腕の立つ護衛騎士を集めティアラの警備に当たらせた。

披露宴会場の前にドレスアップしたシェリルの存在を確認しホッとしたのも束の間、再びあの女が現れる。

母エレーヌに預けてあるはずの赤子を抱えたカロリーヌ・ダミエだ。

彼女はあからさまに僕と揃いのドレスを着ていた。そのドレスは一目でわかる高価なもので、下級貴族のダミエ男爵家が買えるものとは思えない。

僕はこの時になって、綿密に計画された罠に掛かった事に気がついた。
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