贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
本当に世の中には気持ちの悪い女ばかりだ。早く愛するシェリルの元に戻りたいと思いながらも僕はカロリーヌ・ダミエと対峙した。

ベッドに横たわった彼女は大きなお腹を撫でながら、不敵に微笑み口を開く。

「お腹の中にオスカー王太子殿下の子がいます。今、臨月です」
「一体、何を言ってるんだ? 出鱈目だったら許されない事を言っている自覚はあるのか?」

僕は困惑していた。きっと僕は子供が出来辛い体質で、薬を盛られて何かされたとしてもその一回で子供が出来たとは考え辛い。

「子が生まれたら直ぐに血縁検査をする。もし、僕の子でなかったら君と子を処罰する。子が僕の子なら子だけは命を助けよう」

僕の言葉に彼女は目を見開きながらポロポロと涙を溢した。

『涙は女の武器』とは女の勘違いだ。涙を見るとそのあざとさにゾッとする。シェリルは瞳を潤ませても、僕の前で涙をこぼしたことはない。貴族令嬢が涙を見せるのは恥だと知っているからだ。か弱くピュアな彼女が、僕の為に強くあろうとしている姿が僕には堪らなく愛おしかった。

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