義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
そしてその夜。

碧斗は、私が新しい下着を買ったことなど何も知らずに、いつも通り家へ帰ってきた。

「おかえりなさい。」

玄関で出迎える声が、どこか震えていた。

胸の奥はずっとドキドキしていて、落ち着かない。

「ごめん、夕食ある? まだ食べてないんだ。」

「うん。」

そう言う碧斗に、私は用意していたまぐろの山かけを差し出した。

久しぶりに夫が家で夕食を食べてくれている。

その光景だけで、なんだか胸が満たされる気がした。

箸を取り、料理を口に運ぶ碧斗。

喉を動かして飲み込む仕草に、なぜか胸が熱を帯びる。

(……ああ、どうして。料理を食べているだけなのに……こんなにもエロく見えるの)

「ん?」

碧斗がふと顔を上げ、私の視線に気づいた。

「……何でもない。」

慌てて笑みを作る。

秘密を抱えているせいで、余計に彼を直視できなかった。
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