見えない君は大切な人



玄関のドアを開けて、一歩外に踏み出す。


朝の光が差し込み、冷たい風が髪を揺らす。この街に馴染めるのだろうか。誰かと話せるのだろうか。そんなことを考えていた。


振り返ると、母が立っている。


少しだけ目が潤んでいるのに気づく。


「無理しないでね」


その言葉は、優しい祈りにも、静かな警告にも聞こえた。


私は振り返らず、ドアを閉めた。


その音が、なぜか心の奥で大きく響いた。


大きく息を吐き一歩を踏み出す。



学校に近づくたびたくさんの声が聞こえてくる。友達同士が笑い合い、笑顔を交わし、春の空気に浮かれているようだった。


スカートのすそをぎゅっとにぎりしめる。


大丈夫、ここは違う場所。
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