見えない君は大切な人
きっと彼も傷ついている。
キーンコーン……
授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。
現実世界に引き戻される。
「授業……始まった」
今すぐに戻らないと……
立ち上がろうとしたとき、肩口に柔らかな風が吹いた。
驚いて座り直す。
机を見るとそこには、一枚の紙がおいてあった。
『少し、話したいんだけど、一緒に授業サボらない?』
見えない彼と話す機会は今だけかもしれない。
「いいよ。はなそう」
サボるのは少し罪悪感があるけれど、一時間ぐらいなら。
ふっと息を吐き顔を上げる。
そこには彼がいて……なんてこと起こるわけもない。