【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
 ぷはっとお茶を飲み終えて満足げな表情になったアーラを見て、ライザは微笑んだ。

「さ、飲み終えたら寝よっか」

「ママも」

「え?」

「ママも、ねんね」

 小さな手が、ライザの手を掴む。しっとりとした、体温の高い手。この手に握られると、ライザもつい眠気を誘われてしまうのだ。今夜は夜更かしをして読書をするつもりだったのだが、仕方ない。

 再び寝かしつけのために、ライザはアーラと共に寝室に向かった。

 寝室にあるベッドは一つ。三人で眠れるようにと大きめのベッドを購入したのだが、双子が真ん中で寝るのでライザは端で身体を縮めて眠ることも多い。今日も、ベッドの真ん中でパーヴェルがすやすやと寝息を立てていた。

 起こさないようにそっとパーヴェルを移動させて、ライザはベッドに横になる。甘えるように擦り寄ってきたアーラの頭を撫でて、お腹のあたりをぽんぽんと優しく叩く。

「いい子ね、アーラ。ママの宝物さん。大好きよ」

 寝る前には、いつも二人への愛を囁くと決めている。日中は仕事で一緒にいられないので、寝かしつけは貴重な親子の時間なのだ。

「ママも、いいこ」

 お返しのように、アーラがライザの胸のあたりを撫でてくれる。うちの子が可愛すぎると内心で悶えていると、アーラはにっこりと笑ってライザを見上げた。部屋の灯りが映って、青い瞳はきらきらと宝石のように輝いている。

「ないちゃ、だめよ。ママいいこね」

「え……?」

 戸惑っていると、アーラは手を伸ばしてライザの頭を撫でてくれた。

「えーんえーん、ってしたでしょ。だいじょぶよ、ママいいこ」

 小さな優しい手に、また涙が浮かぶ。寝室へ行く前に涙は拭ったはずだが、アーラには気づかれていたのだろうか。

 こんな幼い子供に心配させていることが申し訳なくて、ライザはアーラをぎゅっと抱きしめた。

「ありがとう、アーラ。ママは大丈夫よ。もう、泣かないわ」

 自分に言い聞かせるように、ライザはつぶやく。

 この先、聖女とイグナートの婚約が正式に発表されれば、流れてくる情報は今より更に増えるだろう。いつまでも引きずって泣いてはいられないのだ。

 もっと強くならなければと決心して、ライザは守るべき我が子を抱く手に力を込めた。
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