【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。イグナート・リガロフと申します。ライザと子供たちが、世話になりました」
「タマラ・セディフです。こちらは夫のジョレス。ライザちゃんと子供たちのことは、娘や孫のように思っているの」
にこやかに挨拶をしたタマラだが、目は笑っていない。厳しい眼差しは、目の前の男が本当にライザの夫として、子供たちの父親として相応しいのかを見極めようとしているようだ。
「妊娠中、ライザちゃんは本当に大変だったのよ。もともと細いのに悪阻で更に痩せてしまったし、そんな身体で双子をお腹の中で育てるのは、並大抵のことではなかったわ」
「……はい」
「出産という大事な時にも、ライザちゃんは一人だったの。隣で手を握ってくれるはずの人がいなくて、どれほど心細かったことか」
タマラの言葉に、イグナートは大きな身体を縮めて申し訳なさそうにうつむく。
「我が子というのは、それはそれは可愛いものだけど、子育てはとっても大変なの。昼も夜もなく、どちらかが常に泣いているような日々が続いて、ライザちゃんは睡眠を削りながら子供たちをあやし、世話をし続けたわ。わたしたちが手伝おうと申し出ても、我が子の世話は自分でしたいからって、ふらふらになりながら頑張っていたの」
「はい」
「一番大変な時期に、そばにいなかった人を、本当は認めたくないのよ」
そう言ったあと、タマラは深いため息をついた。
「だけど、あなたにも事情があったことは分かるわ。リガロフ伯爵家のご子息といえば、聖女様の護衛として浄化の旅に出ていたのでしょう。それならライザちゃんと連絡が取れなかったことも、仕方ないとは思うの」
「ですが、ライザや子供たちのそばにいられなかったことは事実ですから」
イグナートの言葉に、タマラもうなずく。
「これからは、どんな時もライザちゃんと子供たちを守ると約束してちょうだい。わたしたちは血の繋がりもないただの隣人だけど、この子たちを誰よりも近くで見守ってきたという自負があるわ。ちゃんとした人でないと、任せられないの」
「なによりも大切にすると誓います」
はっきりと即答したイグナートを見て、タマラは小さくうなずいた。そして少し困ったように笑いながらライザを見た。
「ごめんね、ライザちゃん。二人のことなんだから黙って見守ろうと思ったんだけど、やっぱり口を出してしまったわ。隣人のお節介だと、流してちょうだい」
「いえ、ありがとうございます」
優しく見守ってくれた隣人に感謝を込めて頭を下げると、隣でイグナートも同じように深く頭を下げた。
「タマラ・セディフです。こちらは夫のジョレス。ライザちゃんと子供たちのことは、娘や孫のように思っているの」
にこやかに挨拶をしたタマラだが、目は笑っていない。厳しい眼差しは、目の前の男が本当にライザの夫として、子供たちの父親として相応しいのかを見極めようとしているようだ。
「妊娠中、ライザちゃんは本当に大変だったのよ。もともと細いのに悪阻で更に痩せてしまったし、そんな身体で双子をお腹の中で育てるのは、並大抵のことではなかったわ」
「……はい」
「出産という大事な時にも、ライザちゃんは一人だったの。隣で手を握ってくれるはずの人がいなくて、どれほど心細かったことか」
タマラの言葉に、イグナートは大きな身体を縮めて申し訳なさそうにうつむく。
「我が子というのは、それはそれは可愛いものだけど、子育てはとっても大変なの。昼も夜もなく、どちらかが常に泣いているような日々が続いて、ライザちゃんは睡眠を削りながら子供たちをあやし、世話をし続けたわ。わたしたちが手伝おうと申し出ても、我が子の世話は自分でしたいからって、ふらふらになりながら頑張っていたの」
「はい」
「一番大変な時期に、そばにいなかった人を、本当は認めたくないのよ」
そう言ったあと、タマラは深いため息をついた。
「だけど、あなたにも事情があったことは分かるわ。リガロフ伯爵家のご子息といえば、聖女様の護衛として浄化の旅に出ていたのでしょう。それならライザちゃんと連絡が取れなかったことも、仕方ないとは思うの」
「ですが、ライザや子供たちのそばにいられなかったことは事実ですから」
イグナートの言葉に、タマラもうなずく。
「これからは、どんな時もライザちゃんと子供たちを守ると約束してちょうだい。わたしたちは血の繋がりもないただの隣人だけど、この子たちを誰よりも近くで見守ってきたという自負があるわ。ちゃんとした人でないと、任せられないの」
「なによりも大切にすると誓います」
はっきりと即答したイグナートを見て、タマラは小さくうなずいた。そして少し困ったように笑いながらライザを見た。
「ごめんね、ライザちゃん。二人のことなんだから黙って見守ろうと思ったんだけど、やっぱり口を出してしまったわ。隣人のお節介だと、流してちょうだい」
「いえ、ありがとうございます」
優しく見守ってくれた隣人に感謝を込めて頭を下げると、隣でイグナートも同じように深く頭を下げた。