【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
ソファから動くことができなくなったので、二人で顔を見合わせて小さく笑う。
「子供たちは……本当に可愛いな」
「ふふ、そうでしょう。パーヴェルは、イグナートにそっくりよ」
「アーラはライザによく似ている。笑った顔なんか、そっくりだ」
膝の上で眠る娘の顔を見つめるイグナートは、柔らかい表情をしている。
しばらくして、イグナートは深いため息を落とすとライザの顔を見た。
「この三年あまり、大変だっただろう。本当に申し訳ない」
あらためて頭を下げられて、ライザは首を振った。
「私が選んだことだもの。確かに双子だったのには驚いたけど、タマラさんたちが助けてくれたから。癒し手の仕事も紹介してもらったおかげで、生活に困ることもなかったのよ」
隣人に恵まれたおかげで、ライザは慣れない双子育児をしながら仕事復帰もできたのだ。
それに、もともと一人暮らしをしていたライザは、一般的な貴族令嬢に比べて自活能力が高かった。
だから大丈夫だとライザは説明したが、イグナートは真剣な表情のまま身を乗り出した。
「できれば、今日このまま一緒に家へ帰らないか。ライザとも、子供たちとも、もう離れたくないんだ」
「さ、さすがに今日はちょっと……。私の仕事のこともあるし、リガロフ家の皆様だって突然私と子供たちがあらわれたら、驚いてしまうわよ」
「驚きはするだろうが、喜ぶに違いないから問題ない。うちの親、早く結婚しろってうるさかったんだ」
「……ねぇ、やっぱり私が相手だと知ったら、がっかりされるんじゃないかしら。きっと、品行方正なご令嬢を期待されていると思うの」
「それなら、問題ないな。ライザほどしっかりした人は他にいないから」
はっきりと即答するイグナートに、ライザは苦笑いするしかない。彼は恋人同士のつもりだったとはいえ、ライザは未婚で身籠った。しっかりした人には程遠いことは明らかだ。
イグナートと一緒にいたいという気持ちはあるものの、リガロフ家の人々に受け入れてもらえるかどうか不安でもある。
「うちよりも、ライザの家の方が少しやっかいだな。仕事を辞めたことすら知らないみたいだし、子供のことも知らせてないんだろう?」
「そうね……、本当は、一生このまま放っておいてくれたらいいんだけど」
さすがに結婚するとなれば、連絡をしないわけにはいかないだろう。これまでライザのすることに無関心だった家族が、どんな反応をするかは正直分からない。
ため息をついたライザを見て、イグナートは安心させるように手を握った。
「大丈夫だ。何を言われようとも、俺が必ずライザと子供たちを守る。それにライザはもう成人しているんだから、結婚に親の了承を得る必要はない」
「そりゃ、法の上ではそうでしょうけど」
イグナートの強引さが懐かしくもおかしくて、ライザは思わず小さく笑う。
結局、一旦イグナートは一人で帰り、十日後にあらためて迎えに来るということになった。
十日後には引っ越せるようにしておいてほしいとイグナートは言ったが、ライザはまだそこまでの覚悟ができていない。イグナートの両親が結婚を認めない可能性を、どうしても考えてしまうのだ。
仕事だけは突然やめるわけにはいかないので、職場である診療所の所長には近いうちに引っ越す可能性があることをそれとなく伝えた。まだ何があるか分からないので、仕事や家を失うのはやめておいた方がいいと言うタマラの口添えもあり、退職についても保留にしてもらっている。
周囲の人に恵まれていることに感謝をしながら、ライザは落ち着かない気持ちで十日間を過ごした。
「子供たちは……本当に可愛いな」
「ふふ、そうでしょう。パーヴェルは、イグナートにそっくりよ」
「アーラはライザによく似ている。笑った顔なんか、そっくりだ」
膝の上で眠る娘の顔を見つめるイグナートは、柔らかい表情をしている。
しばらくして、イグナートは深いため息を落とすとライザの顔を見た。
「この三年あまり、大変だっただろう。本当に申し訳ない」
あらためて頭を下げられて、ライザは首を振った。
「私が選んだことだもの。確かに双子だったのには驚いたけど、タマラさんたちが助けてくれたから。癒し手の仕事も紹介してもらったおかげで、生活に困ることもなかったのよ」
隣人に恵まれたおかげで、ライザは慣れない双子育児をしながら仕事復帰もできたのだ。
それに、もともと一人暮らしをしていたライザは、一般的な貴族令嬢に比べて自活能力が高かった。
だから大丈夫だとライザは説明したが、イグナートは真剣な表情のまま身を乗り出した。
「できれば、今日このまま一緒に家へ帰らないか。ライザとも、子供たちとも、もう離れたくないんだ」
「さ、さすがに今日はちょっと……。私の仕事のこともあるし、リガロフ家の皆様だって突然私と子供たちがあらわれたら、驚いてしまうわよ」
「驚きはするだろうが、喜ぶに違いないから問題ない。うちの親、早く結婚しろってうるさかったんだ」
「……ねぇ、やっぱり私が相手だと知ったら、がっかりされるんじゃないかしら。きっと、品行方正なご令嬢を期待されていると思うの」
「それなら、問題ないな。ライザほどしっかりした人は他にいないから」
はっきりと即答するイグナートに、ライザは苦笑いするしかない。彼は恋人同士のつもりだったとはいえ、ライザは未婚で身籠った。しっかりした人には程遠いことは明らかだ。
イグナートと一緒にいたいという気持ちはあるものの、リガロフ家の人々に受け入れてもらえるかどうか不安でもある。
「うちよりも、ライザの家の方が少しやっかいだな。仕事を辞めたことすら知らないみたいだし、子供のことも知らせてないんだろう?」
「そうね……、本当は、一生このまま放っておいてくれたらいいんだけど」
さすがに結婚するとなれば、連絡をしないわけにはいかないだろう。これまでライザのすることに無関心だった家族が、どんな反応をするかは正直分からない。
ため息をついたライザを見て、イグナートは安心させるように手を握った。
「大丈夫だ。何を言われようとも、俺が必ずライザと子供たちを守る。それにライザはもう成人しているんだから、結婚に親の了承を得る必要はない」
「そりゃ、法の上ではそうでしょうけど」
イグナートの強引さが懐かしくもおかしくて、ライザは思わず小さく笑う。
結局、一旦イグナートは一人で帰り、十日後にあらためて迎えに来るということになった。
十日後には引っ越せるようにしておいてほしいとイグナートは言ったが、ライザはまだそこまでの覚悟ができていない。イグナートの両親が結婚を認めない可能性を、どうしても考えてしまうのだ。
仕事だけは突然やめるわけにはいかないので、職場である診療所の所長には近いうちに引っ越す可能性があることをそれとなく伝えた。まだ何があるか分からないので、仕事や家を失うのはやめておいた方がいいと言うタマラの口添えもあり、退職についても保留にしてもらっている。
周囲の人に恵まれていることに感謝をしながら、ライザは落ち着かない気持ちで十日間を過ごした。