【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
馬車が走り始めると、双子たちはしばらく窓の外の景色に夢中になっていたが、やがて揺れに眠りを誘われたようで目を擦り始める。イグナートがアーラを、ライザがパーヴェルを抱いて寝かしつければ、二人はあっという間にぐっすりと眠ってしまった。
「ライザ、そっちに行っていいか」
「え……いいけど」
向かいに座ったイグナートに問われて、ライザは戸惑いつつうなずく。移動してきたイグナートは、ライザの隣に腰を下ろすと、一瞬むずかったアーラを寝かしつけるように優しく肩を叩いた。
パーヴェルはライザの膝を枕にして眠っているので、四人が同じ座席にいることになる。それでもまだ座面に多少の余裕があるくらい、この馬車は広い。だがイグナートは、距離を詰めるようにライザに密着して座った。
「旅をしていた三年間もライザに会いたくてたまらなかったが、それと同じくらいこの十日間は長く感じたよ」
ライザの首筋に顔を埋めるようにしながらイグナートが囁く。肌をくすぐる吐息に少し鼓動を速めながら、ライザは小さく笑った。
「大げさね」
「そんなことはない。まぁ、一番長く感じたのは、旅を終えてライザがいないことに気づいてから、再会できるまでの日々だが」
過去を思い出しているのか、イグナートは大きなため息をついた。
「家を訪ねたらライザは引っ越していて、仕事も辞めていたし、どこに行ったかも分からなくて……。あの時は、この世の終わりみたいな気分だった」
「ご、ごめんなさい……」
「いや、ライザは悪くない。だけど会えない日々は辛くて、心当たりのある場所を必死で探していたんだ。あの日会えたのは偶然だが、あの場所まで俺を向かわせてくれた窃盗犯には、感謝したいくらいだな」
そう言って、イグナートは抱き寄せる腕に力を込めた。首筋に彼の髪が触れて、ライザの鼓動はますます速くなる。
「……ずっと、会いたかった」
「私も、会いたかった。自分一人で子供たちを立派に育ててみせるって決意していたけど、それでもイグナートのことはずっと忘れられなかった」
「うん。忘れられていなくて、本当によかった」
そう言ってイグナートが、首筋に軽く唇を押し当てた。柔らかな感触に鼓動が跳ねるが、そばでは子供たちが眠っている。ここで変な雰囲気になるわけにはいかないと、ライザは慌てて身体を引こうとした。
「待って、こんなところで……」
「分かってる。だけど、少しくらいライザに触れていないとおかしくなりそうなんだ」
そう囁かれて、手を握られる。絶対に離さないとでもいうように指を絡められて、ライザも抵抗せずにそれに身を任せた。イグナートのぬくもりが恋しかったのはライザも同じだし、早く会いたかった。ずっとこの手を離さずにいられますようにと願いながら、ライザはそっと目を閉じた。
「ライザ、そっちに行っていいか」
「え……いいけど」
向かいに座ったイグナートに問われて、ライザは戸惑いつつうなずく。移動してきたイグナートは、ライザの隣に腰を下ろすと、一瞬むずかったアーラを寝かしつけるように優しく肩を叩いた。
パーヴェルはライザの膝を枕にして眠っているので、四人が同じ座席にいることになる。それでもまだ座面に多少の余裕があるくらい、この馬車は広い。だがイグナートは、距離を詰めるようにライザに密着して座った。
「旅をしていた三年間もライザに会いたくてたまらなかったが、それと同じくらいこの十日間は長く感じたよ」
ライザの首筋に顔を埋めるようにしながらイグナートが囁く。肌をくすぐる吐息に少し鼓動を速めながら、ライザは小さく笑った。
「大げさね」
「そんなことはない。まぁ、一番長く感じたのは、旅を終えてライザがいないことに気づいてから、再会できるまでの日々だが」
過去を思い出しているのか、イグナートは大きなため息をついた。
「家を訪ねたらライザは引っ越していて、仕事も辞めていたし、どこに行ったかも分からなくて……。あの時は、この世の終わりみたいな気分だった」
「ご、ごめんなさい……」
「いや、ライザは悪くない。だけど会えない日々は辛くて、心当たりのある場所を必死で探していたんだ。あの日会えたのは偶然だが、あの場所まで俺を向かわせてくれた窃盗犯には、感謝したいくらいだな」
そう言って、イグナートは抱き寄せる腕に力を込めた。首筋に彼の髪が触れて、ライザの鼓動はますます速くなる。
「……ずっと、会いたかった」
「私も、会いたかった。自分一人で子供たちを立派に育ててみせるって決意していたけど、それでもイグナートのことはずっと忘れられなかった」
「うん。忘れられていなくて、本当によかった」
そう言ってイグナートが、首筋に軽く唇を押し当てた。柔らかな感触に鼓動が跳ねるが、そばでは子供たちが眠っている。ここで変な雰囲気になるわけにはいかないと、ライザは慌てて身体を引こうとした。
「待って、こんなところで……」
「分かってる。だけど、少しくらいライザに触れていないとおかしくなりそうなんだ」
そう囁かれて、手を握られる。絶対に離さないとでもいうように指を絡められて、ライザも抵抗せずにそれに身を任せた。イグナートのぬくもりが恋しかったのはライザも同じだし、早く会いたかった。ずっとこの手を離さずにいられますようにと願いながら、ライザはそっと目を閉じた。