【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
「ライザって、癒し手として働いていたあのライザでしょう? イグナートの恋人って、ライザのことだったの?」
「あー……。そう、ですね」
「まぁ、あなたたちが恋人同士だったなんて知らなかったわ。ライザが仕事を辞めてしまったって聞いて、わたくしも悲しかったのよ。結婚するということは、またライザにも会えるわね。ぜひお茶会をしましょうって伝えておいて」
知った名前だったことが嬉しかったのか、ヴェーラは頬を紅潮させて喜ぶ。だが彼女は、ふと何かに気づいたように首をかしげた。
「ちょっと待って。もしかして、二人の仲が拗れてしまったのって、わたくしのせいかしら」
「……それは」
「わたくしがイグナートを連れて行くと言い出さなければ、あなたたちが離れ離れになる必要もなかったものね。どうしましょう、ライザにも申し訳ないことをしてしまったわね」
一気に落ち込んだ表情になるヴェーラを見て、イグナートは小さく息を吐いた。
確かに、お気に入りの騎士を連れて行きたいという彼女の我儘で、イグナートは浄化の旅に行くことになった。だが、聖女の護衛騎士は魔獣の討伐経験が少なく、イグナートがいなければ対処できない場面も多々あった。結果的に、同行したことは正しかったのだろう。
「仕事ですから、仕方ないことです。確かに色々ありましたが、俺がいなければ、ヴェーラ様が怪我をしていた可能性だってあるでしょう」
「そうね。……顔だけだと言ったのは、訂正するわ。あなたの腕は確かだもの。わたくしを、何度も救ってくれたものね」
「観賞用以外にも役立っていたでしょう?」
冗談めかしたイグナートの言葉に、ヴェーラも微かな笑みを見せる。
「今度ライザに会ったら、わたくしも謝らないといけないわね。そうだわ、ドレスや指輪の準備はもう済んだ? よければ、わたくしが懇意にしている店を紹介するわよ」
せめてもの詫びにと、ヴェーラはそんな提案をしてくれる。彼女の紹介であれば、最高級のものが手に入るだろう。だが、イグナートはその提案に乗る気はない。ヴェーラには、もっと他のことで役立ってもらうつもりなのだ。
ライザの両親が結婚を認めるかどうか、イグナートは正直なところかなり不安に思っている。普段はいないものとして扱っていても、別の誰かの手に渡ると分かれば、急に惜しくなるものだ。
もちろん、どんな手を使っても認めさせるつもりではいるが、使える手札は多い方がいい。聖女であり、国王陛下の愛娘でもあるヴェーラを味方につけておくのは、決して損にはならないはずだ。
そんなことを考えながら、イグナートは笑顔で身を乗り出した。
「ありがとうございます。指輪もドレスも、もう目星はつけてあるので、お気持ちだけちょうだいします。それよりも、俺たちの結婚に関してヴェーラ様にはお願いしたいことがありまして」
「なぁに? わたくしにできることなら、力になるわよ」
ヴェーラは、もちろんとうなずいてくれる。
内密の話ですがと前置きして、イグナートはゆっくりと口を開いた。
「実は――」
「あー……。そう、ですね」
「まぁ、あなたたちが恋人同士だったなんて知らなかったわ。ライザが仕事を辞めてしまったって聞いて、わたくしも悲しかったのよ。結婚するということは、またライザにも会えるわね。ぜひお茶会をしましょうって伝えておいて」
知った名前だったことが嬉しかったのか、ヴェーラは頬を紅潮させて喜ぶ。だが彼女は、ふと何かに気づいたように首をかしげた。
「ちょっと待って。もしかして、二人の仲が拗れてしまったのって、わたくしのせいかしら」
「……それは」
「わたくしがイグナートを連れて行くと言い出さなければ、あなたたちが離れ離れになる必要もなかったものね。どうしましょう、ライザにも申し訳ないことをしてしまったわね」
一気に落ち込んだ表情になるヴェーラを見て、イグナートは小さく息を吐いた。
確かに、お気に入りの騎士を連れて行きたいという彼女の我儘で、イグナートは浄化の旅に行くことになった。だが、聖女の護衛騎士は魔獣の討伐経験が少なく、イグナートがいなければ対処できない場面も多々あった。結果的に、同行したことは正しかったのだろう。
「仕事ですから、仕方ないことです。確かに色々ありましたが、俺がいなければ、ヴェーラ様が怪我をしていた可能性だってあるでしょう」
「そうね。……顔だけだと言ったのは、訂正するわ。あなたの腕は確かだもの。わたくしを、何度も救ってくれたものね」
「観賞用以外にも役立っていたでしょう?」
冗談めかしたイグナートの言葉に、ヴェーラも微かな笑みを見せる。
「今度ライザに会ったら、わたくしも謝らないといけないわね。そうだわ、ドレスや指輪の準備はもう済んだ? よければ、わたくしが懇意にしている店を紹介するわよ」
せめてもの詫びにと、ヴェーラはそんな提案をしてくれる。彼女の紹介であれば、最高級のものが手に入るだろう。だが、イグナートはその提案に乗る気はない。ヴェーラには、もっと他のことで役立ってもらうつもりなのだ。
ライザの両親が結婚を認めるかどうか、イグナートは正直なところかなり不安に思っている。普段はいないものとして扱っていても、別の誰かの手に渡ると分かれば、急に惜しくなるものだ。
もちろん、どんな手を使っても認めさせるつもりではいるが、使える手札は多い方がいい。聖女であり、国王陛下の愛娘でもあるヴェーラを味方につけておくのは、決して損にはならないはずだ。
そんなことを考えながら、イグナートは笑顔で身を乗り出した。
「ありがとうございます。指輪もドレスも、もう目星はつけてあるので、お気持ちだけちょうだいします。それよりも、俺たちの結婚に関してヴェーラ様にはお願いしたいことがありまして」
「なぁに? わたくしにできることなら、力になるわよ」
ヴェーラは、もちろんとうなずいてくれる。
内密の話ですがと前置きして、イグナートはゆっくりと口を開いた。
「実は――」