私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
あんな煽るような言い方をしておにぃは何がしたいの?


「別に、あの人達がましろの事どう思ってるのか確かめたかっただけだよ。傷付けられても守りたいような存在なのかね。ほら、ましろに何かあったら学生しながら稼げる方法が無くなるでしょ?」


またそうやって嘘をつく。


これまでに十分すぎる報酬は貰ったでしょ。貧乏人だって馬鹿にされていた頃とは違うんだから。


同情なのか好意なのかそんなのは分からないけど、ましろねぇにも幸せを築いてもらいたいからって、素直に言えばいいのにさ。








日も沈み、場所は西のとある建物へ。


「─────という流れでお願いしたいんだけど」


「承知しました」


「うん。頼んだからね」


「・・・キョウ様。その、今回上手く行けば約束通り」


「分かってるよ。ちゃんと検討しとくからね」


「っ!はい!」


馬鹿だなぁ、こんな口約束にも満たないもので喜んで。


お前みたいな人間が西の上に立ちたい?


そんなんだからいいように使われるんだよ。


「まぁ、扱いやすくてよかったけど」


アイツももう気づいてるだろうし今回でこいつは用済みかなぁ。


「あの・・・?」


「ううん、なんでもない」


彼の抑える片目には前髪から覗かせる眼帯があった。


赤と黒を混ぜた髪の男、キョウは月明かりに照らされながら盤上のコマを動かす。


「ようやくお前に会える」





そんな光景を膝をつきながら眺める一つの影。


(やっと、私が上の人間になれるッ)


欲を秘めた影は、その黒い髪を揺らしながら呟いた。


「それでは明日、計画通りに」
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