俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
彼女にきつい視線を向けられて肩を揺らす。

(黒見CEOには貴重な体験をさせてもらったし、お金もたくさん使わせてしまった。恩返しとして今だけ恋人のふりをしてもいいか)

黒見の横顔を見ると、彼女に向ける眼差しは冷えていた。

お世話になった上司の娘だから邪険にはできないが、嫌悪感を抱いているのが伝わってくる。

(交際してみると苦手なタイプの女性だったから別れたのかも)

昨夜飲んでいた時に、嫌いなタイプを聞いたら教えてくれた。恋愛に振り回されたり、男性に依存して機嫌を取ったりするような女性が苦手だと言っていた覚えがある。

こんな美女でも好きな男性の前では機嫌を取ろうとするのかと意外に思った矢先に、彼女が黒見の腕に触れて甘えるような声を出す。

「冷たくしないで。お願いよ。私は今でもあなたを想っているわ」

(えっ、偽者だけど恋人がいる前で普通そういうことする?)

同情を誘うような態度の裏に、自分本位の気遣いのなさを感じた。もしかするとそういうところも嫌になって黒見は別れを選んだのかもしれない。

(私もこの人、苦手だ)

黒見の眉間に皺が刻まれている。

「やめてくれ」と言われたのに、彼女は首を横に振って彼の腕を豊満なバストに引き寄せた。

(黒見CEOが困ってる。助けないと)

見下されたことよりも彼を困らせる行為に腹が立ち、頭にゴングが鳴り響いた。

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