俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
すると後ろから黒見の片腕が回され、強く引き寄せられた。

「わっ!」

ハイヒールは履き慣れていないためバランスを崩し、体重を彼に預ける格好になる。

たくましい体幹を背中に感じ、至近距離にある美々しい顔に息をのんだ。

(ち、近すぎ……)

「梨乃の言う通りだ。悪いがこれを機会に諦めてくれ」

自分の速い鼓動を耳元で聞きながら、彼女に懇願するような視線を向ける。

(お願い。これで引いて。でないと私、ドキドキしすぎておかしくなりそう)

彼女が天井を仰いだ。

「趣味が悪くなったなんて残念だわ」

肩をすくめて見せた彼女が会場から出て行く。

黒見の手も離されてホッと息をつくと、ククッと笑われた。

「まさか守られると思わなかった。勇ましいな。お前は時々俺の予想を超えてくる」

「あれは、その、恩返しと言いますか。お困りの様子でしたし……」

ゴージャス美女を相手にかなり恥ずかしい主張をした気がする。

苦笑してごまかそうとすると、黒見に熱っぽく見つめられた。

「梨乃」

(えっ、まだ名前呼び?)

もう恋人のふりをする必要はないのにと戸惑っていると、黒見の片手が梨乃の頬に触れた。

「ますます惚れた。どうすればお前が手に入る?」

(ど、どうやっても無理だよ)

心の呟きとは裏腹に胸が高鳴って困る。

「あなたも諦めてください」

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