俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
定時で退社しても誰かと会う約束をしていないので、まっすぐ自宅に向かうだけだ。

(夕食どうしよう。あまり食欲ないけど食べないと体調を崩すよね。あっさりしたうどんにしようかな)

寝るまでの時間はたっぷりあるので夕食後は湯船にゆっくりと浸かり、そのあとは好きなアーティストのミュージックビデオを見るのもいいかもしれない。

そう考えるといくらか気分は上向きになり、自宅の最寄り駅の改札を出てから東へと速足で進んだ。

七分ほどで十階建てのマンションのエントランスが見えてきた。入口に誰か立っていると思いながらもう少し近づき、ハッとして足を止めた。

(あのシルエットはもしかして……)

ビジネスコート姿の男性がオートロックの玄関前にうつむき加減で立っている。

その背格好がやけに勇大に似ていて、たちまち鼓動が嫌な音で鳴り立てた。

顔が見える距離まで気づかれないように近づき、勇大だと確信した。

(なにしに来たのよ)

そう思ったが理由は簡単に想像できる。昨夜の復縁要請のメッセージに梨乃が既読をつけなかったからだ。

おそらく電話をかけ、ブロックされたのに気づいたのではないだろうか。やり直したいと直接話すために待ち伏せているというわけだ。

(わかるけど、待ち伏せはやめてよ。怖いから)

彼に危害を加えられそうだという怖さではなく、むしろ逆の心配をしていた。

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