俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
(婚約破棄を決めるまで、運命の女性に私の愚痴を言って相談していたんでしょ? それなのに今度は私にその人の悪口を聞かせる気なの? 身勝手すぎて怒りが突き抜けそう)

渾身のストレートパンチをお見舞いしてしまいそうなほど腹が立つ。

(帰れないな。どうしよう。とりあえず引き返すか)

うどんと湯船とミュージックビデオが遠のいたことにも怒りを覚える。すぐに踵を返した梨乃は念のためにいつもとは違う道を通って駅前まで戻った。

落ち着いて対策を考えようと思い、目についたカフェに入る。テーブル席は満席のため窓際のカウンター席に案内された。

カプチーノを注文して飲みながら、道路を挟んだ向こう側の駅の明かりを眺める。

(二時間くらい時間を潰せば諦めて帰ってくれるよね。でも根本的な解決にならない)

日を改めてまた待ち伏せされる可能性もあるため、携帯を出して勇大のアカウントのブロックを解除した。話したくないが、仕方なく電話をかける。

『もしもし』

三回コールで電話に出た彼の声は緊張していた。

『電話くれてありがとう』

「自宅前で待ち伏せされたらかけるしかないでしょ。お願いだからやめてよ」

『ごめん。ブロックされたみたいだったし、他に手段がなくて。どうしても梨乃に聞いてもらいたい話があるんだ』

梨乃は周囲を気にした。左隣の席は空いているが右にはスーツ姿の男性客がいる。

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