俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「本当はビジネス目的なんじゃないの?」

「違いますけど、どうしてですか?」

「日本人女性のひとり旅はなかなか珍しいから」

その言葉が胸に突き刺さり、つい語気を強めてしまう。

「寂しいひとり旅ですみませんね。本当はハネムーンで来る予定だったのに、結婚目前でフラれたもので。悔しいから、私の分はキャンセルしませんでした」

途端に審査官が同情的な顔になり、取り繕うように慰めてくる。

「大丈夫。あなたは素敵なレディだ。神様がもっと相応しい人と出会わせてくれるよ。だから元気を出してニューヨーク観光を楽しんで」

「ええ。楽しみますよ。意地でも」

「オーケー」と入国許可の判を強めに押してくれた審査官となぜかハイタッチをし、やっとゲートを通過した。

勇ましい足取りでスーツケースを取りに行きながら、別れたばかりの彼に心の中で文句を言う。

(本当にひどい。あんな人だと思わなかった)

元彼は牧本勇大(まきもとゆうだい)といい、三つ年上の三十二歳だ。

梨乃が保険会社に勤めていた時に仕事上で知り合った。

デートに誘ったのも交際を申し込んだのも勇大からで、それ以降五年ほど本気の恋愛をしてきたつもりでいた。

結婚の話が出たのは昨年、彼の九州への転勤が決まった時だ。

ついてきてほしいと言われてプロポーズされ、喜んで承諾した。

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