俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
お互いの両親に挨拶をすませて結婚式場に予約を入れ、寿退社の意向を勤務先に話して先月付で無職となったばかりだった。

それなのに――結婚を目前に控えたある日、先に九州での暮らしを始めていた勇大から電話がかかってきた。

『ごめん、別れてほしいんだ。実はこっちに好きな人ができて……』

転勤先で運命的な出会いをしたと打ち明けられた。

そう言われても納得できない。きっと一時の気の迷いだから早まらないでと食い下がると、申し訳なさそうだった彼の声が苛立った様子に変わった。

『聞き入れてくれよ。人生を後悔したくないんだ』

『でも私、勇大との結婚のために仕事を辞めたんだよ? 式場のキャンセル料だってほぼ全額かかる。なにより五年もつき合ったのに。私の二十代、どうしてくれるのよ』

『梨乃のそういう可愛げのないところが無理なんだ。悪いけど彼女の方が女として魅力的だ。式場のキャンセル料も慰謝料も払うから、別れてくれ』

思い出しても腹が立つ。

(可愛げないってなによ。こんな私だって、一週間は泣き続けたんですけど)

眠れず食べられず、元から細身なのに二キロも体重が減った。

(ひと月経って体重は戻ったし、今はもうすっかり元気だけどね。よく考えると、あんな男と結婚しなくてよかったんだよ)

本心を明かせばまだ勇大を好きな気持ちは残っているが、そうでも思わないと前を向けない。

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