俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
あまりにも話が通じないので困惑していると、黒見の涼しげな目が挑戦的に輝いた。

「興味がないなら興味を持たせればいいだけだ。好みではないなら、お前のタイプが俺になるようにすればいい」

「えっ……」

「俺は狙った獲物は逃がさない。覚悟しておけ」

ハンターか肉食獣しか言わなそうな台詞が似合うのは、彼くらいのものだろう。

たぐいまれなる美貌の持ち主に言われると、意思とは無関係に心臓が波打った。

「仕事に戻っていいぞ」

「はい。失礼しました……」

執務室を出て静かな廊下を歩きながら、まだ混乱している。

(これって、どういう状況なの?)

秘書課の前を通ると先ほどの男性秘書が出てきて、声をかけられた。

「宮内さん、CEOのお話はどのようなものでしたか? 差し支えなければ聞かせてください」

「それが、私にもよくわからないんです。再就職先にこちらを選んだことに対し疑っているというようなお話でした。その疑いは晴らせたんですけど、そのあとが……」

梨乃の方が教えてほしいという気持ちで困り顔を向けたが、なぜか彼は頷いた。

「ああ、なるほど。そういうことでしたか。おつかれさまでした」

なぜ理解できたような顔をするのか。この秘書の反応もわからない。

このフロアは宇宙人だらけなのだろうかと思いつつ、梨乃は首を傾げたままエレベーターに乗り込んだ。





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