俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「どうしても必要な資料なのよ。CEOに期待されている宮内さんなら、作れるはずだと思って。頼りにしているのよ。お願いね」

嫉妬がたっぷりとこもった嫌味とは裏腹に、整った顔には強めの笑みが浮かんでいる。

なにも言い返せない梨乃をクスッと笑い、彼女は優雅な足取りで去っていった。

(睨まれるより怖かった。仕方ない、やれるだけやってみよう。嫉妬をさらに煽ってしまったのは私だし)

それは一昨日、黒見の執務室から部署に戻った後の出来事だ。

マネージャーの富樫に呼ばれてなんの用だったのかと尋ねられた時、正直に言える内容ではないので咄嗟に嘘をついた。

『前の職場で関わっていたプロジェクトの件でした。参考にされたいそうで、簡単ですが私の経験をお話した次第です』

声を落としたつもりだったのだが、宇津木の耳には届いてしまったようだ。

『CEOに助言できるなんて素晴らしいわね』

近づいてきた彼女に敵意のにじむ目で褒められて肩を揺らした。

恋愛ではなく仕事であっても、黒見に注目される女性は許せないのだろう。

前の職場に共通の知り合いがいたとか、もっと些細な呼び出し理由にすればよかったと後悔したのだ。

(同じ部署の社員は仲間のはずなのに、敵対視されてるよね)

頭の痛い問題だが、今は宇津木との関係改善を考えている暇はない。

急いで会議用の追加資料の作成に取りかかる。

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