俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
黒見を見習ってほしい心境だ。きっと忙しいはずなのに、各部署のチームミーティングにまで顔を出すフットワークの軽さを思い出していた。

面倒くさそうに立ち上がった弟に注意を重ねる。

「おせち料理を作るのは大変なんだよ。文句を言うなんて信じられない。いつまでも子供じゃないんだから、親に甘えるのはやめな」

「喉が渇くと言っただけだろ。自分だって手伝わずに食べに来ているだけなのに偉そうに。姉ちゃんこそ、甘えんなよ」

「あんたよりは手伝ってるよ。昨日は年越しそばを茹でたし、今朝は雑煮も作ったから。一緒にしないで」

「絡んでくんなよ。うるせぇな。そんなんだからフラれるんだよ」

この弟は婚約破棄された姉を労わる気持ちを一ミリも持ち合わせていない。腫れ物に触るように話されるのも嫌だが、少しくらいは気を使ってほしい。

他の家庭ならきっとタブー扱いで、めでたい正月の話題には上らないだろう。

「彼女もいないあんたに言われたくないんだけど」

母はまた始まったと言いたげに呆れ顔で黒豆を食べている。

寡黙な父に「うるさいぞ」と叱られ、弟との口喧嘩は終了した。と思ったら、そこに兄が帰宅して参戦する。

「ただいま。すごい混んでたわ。あー疲れた。母さん、お茶」

(あんたもか)

「親を使わないで自分で淹れなよ」

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