幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
「恋、バス、隣に座らない?。」
グループ決めで席を立ってやって来た理央が恋の背中を軽く叩いた。
「良いよ。でも明日香は?」
「芽衣と座るって。上野くんは多紀と座るって。良かった、恋がまだ誰と座るか決めてなくて。」
「楽しみ。バスもキャンプも。」
「ね。みんなで泊まりに行くなんて滅多にないもん。ワクワクするよね。」
班ごとに合わせた机で、配られたしおりに目を通しながら理央が言った。
「何持ってこうかなあ、キャンプ。」
「キャンプグッズは全部準備されてるって。泊まりもロッジだし。可愛いロッジだと良いね。」
「去年の6年生が言うには、結構大きいロッジだったみたい。グループごとに別棟の。こう、丸太で組んであるみたいな。キャッチーでお洒落な。恋、分かる?」
「分かる、気がする」
わくわくしながら恋が言うと、班の行動表をチェックしていた宗介が言った。
「僕はテントで寝た事あるけど、恋は外で泊まった事ないだろ。山の中は涼しいけど、結構危ないから、気をつけないと。外で怪我したりしても面倒だしね。虫除けも持っていかないと。」
「野生の動物居るかな。」
「リスとかなら居るみたいだよ。時々だけど。見れると良いね。」
「俺、去年の夏同じとこ行ってきたんだ。ロッジは違うけど。面白かったぜ。」
西井多紀が言うと、明日香がうっとりとため息をつく。
「いいなあ。私も恋と同じで、外に泊まった事ないんだ。夏はやっぱキャンプだよねえ」
「それでやっぱカレーだよな。外で食べる。」
「テントも良いけどロッジも良いよね。夜ずっと起きてようよ。よし、私カメラ持っていこう。」
先生の指示で席に戻るまで、クラス中ががやがやとキャンプの話で盛り上がっていた。