幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
次の日。
学校の朝のホームルームで、連絡があった。
担任の小山田先生がちょっと真面目な顔つきで、教室の生徒たちに言った。
「新田さんが、一昨日から家に帰ってないそうです。えー心当たりのある者」
教室はざわついた。
「先生も心配で、車からも気をつけて見てたんだけど、まだ見つかっていません」
小山田先生は空咳をした。
「ケータイで連絡取れる人はぜひ連絡してみてください。心配して探しています。……みんな無断外泊しちゃ駄目ですよ。親御さんとっても心配するから。」
宗介は無表情で、連絡を聞いていた。
休み時間。
「上野くん」
宗介が振り向くと理央と明日香だった。
2人とも心配そうに、表情を曇らせている。
「恋、どこに行ったと思う?」
「それが分からなくて。駒井達はどこかあいつが行きそうな所知ってる?。僕が行ってこようと思ってるんだ。」
「ううん、恋のお母さんが言うには、いつも行く場所には居なかったみたい。ケータイにかけても、なんの返事もくれないんだ。不安になってきて。」
「今日の放課後、みんなで探さない?って話なんだけど、上野くんも来るよね?」
「行く。あいつ、普段はこんなことしないんだけど。」
宗介は頷いたが、固い表情を崩さない。
「見つけたら絶対……ううん何でもない。あいつを探してくれてありがとう、駒井も田山も。」
「当然だよ、友達だもん」
「ねえ。当たり前だよ。できるだけ一緒に探してくれる友達誘ってるんだ」
頷いた理央と明日香の前で、宗介ははあ、とため息をついた。