winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜
私達は日付が変わっても一緒に飲んでずっと喋った



結局解散したのは1時近くで、智恵美が4ピースは不滅だーって路上で叫んで大笑いして解散した



ほら、智恵美帰るぞ



明宏が保護者みたいに智恵美を連れて帰る


 
あの2人は変わらないね



私とクスッと笑って2人に手を振って見送った



「愛奈、送って行くよ」



帰ろうとする私を浩大が追いかけてきたから、私は浩大に送ってもらう事になった



年明けの徒歩の帰り道はやっぱり寒い



「やっぱり冬は寒いねー」



私は手袋をはめた手を両手で擦り、白い息を吐いた



「愛奈大丈夫か?」



浩大が立ち止まって真顔になって聞いてくる



さっきまでの明るいノリはなく、至って真面目だ



「うん…実は最近辛い事があって、かなり落ち込んで絶望的だったんだけど、今日みんなに会って少し気が晴れた」



私は無理して笑顔で言葉を発した



「何でそんな辛い思いしたんだよ?」



もしかして男が原因とか?
   


浩大は少し悔しそうに言葉を発する



「それは…今はまだ言いたくない…まだ自分に起きた事が信じられなくて、辛過ぎて、自分でも受け止めきれないくらいなんだ…」



本音だった…



まだ笑って人に話せるほど、事実を受け止めきれていない自分がいた…



悲しくて悲しくて、今にも泣いてしまいそうだ…



「そうか…なら無理には聞かないけど、俺は愛奈に元気がないと心配なんだ」



もう俺なんて過去の存在だろうけど、俺にとって愛奈はやっぱり特別だから…



愛奈の辛そうな顔は見てられないんだ



そう言う浩大は辛そうだ…



「浩大有難う。でも大丈夫。これは私が自分で乗り切らなきゃいけない気がするんだ…悲しくても、辛くても、自分でもがいて、足掻いて、何とか乗り越えてみせる…」



だから、私は大丈夫



有難う。浩大
    


「そっか…何があったのかも言えないか…じゃあ話したくなったら話せよ。辛くてどうしようもない時は俺が話聞いてやる。だから、我慢して無理せず俺を頼れよ」



浩大は相変わらず優しい



「うん。有難う浩大」



私は笑顔で返した



泣いてばかりだかりだった毎日から、ようやく久しぶりに笑えた気がした…
< 56 / 165 >

この作品をシェア

pagetop