社内では秘密ですけど、旦那様の溺愛が止まりません!
休憩を終え、開発部の前を通りかかると、また別のひそひそ声が聞こえた。

「浅賀くん、社長の親戚なんじゃない?」

「本人は否定してたけど、あの目元は嘘つけないって」

「この前見かけた顔、まじで似てたもん」

(ああ〜……やっぱり広がってる……!)
あの日寝坊してしまったことが悔やまれる。そんな中、後ろから小さな声がした。

「……広まってるね」

振り向くと亮くん。スーツの袖をまくりながら、少しだけ苦笑していた。

「どうしよう……私たちのことまでバレちゃう?」

「まだ誰もそこまでは気づいてない。でも、放っておくと危ないかもな」

その言葉に焦る。確かに今みんなの話題の的になってしまっている。今までの亮くんは地味で、みんなの話題に上がることなんてなかったのに。でも、だからこそみんなの興味に火がついてしまったのだろう。

「ごめん……社内報、私のチームで出したの」

「知ってる」

その言葉に驚き、口が開いたままになる。

「お前が載せた社長の写真、俺の部屋にも同じのがあったから」

「……!」

亮くんは優しく笑って、私の頭を軽く撫でた。

「責めてないよ。むしろお前が載せたって聞いて、ちょっと嬉しかった」

「どうして?」

「お前が“俺を見つけてくれた”気がしたから」

ズルい。そんな言い方。でもあの写真を見た時ふと亮くんに似てるとは正直思った。でもなんだか選ばないとはならなかった。どうしてかはわからなかったけど、亮くんに似てるのに他の人にはわからないだろうと思ってしまった自分がいた。

「大丈夫だから」

そう言うとさっと私から離れていった。
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