Powdery Snow

5組の教室に差し掛かった時、だんだん嫌になってきたのか絵梨佳はため息混じりで話してきた。


携帯を両手にカチカチとボタンを押す早さは異様に早い。


パチンと閉ざされたピンクのラメ入りの携帯は絵梨佳には凄い似合っている。


「ねぇ、亜希?」


頬を膨らませてあたしの顔を覗き込む絵梨佳に「居ない…」と声を洩らす。


立ち止まるあたしを置いて絵梨佳は先に進み最後の教室を覗いて声を上げた。



「うわっ…」


絵梨佳の声で肩が上がり小走りで駆け寄った。


「何?」

「誰も居ないよ」

「うそっ…」


思わず口をポカーンと開け、あたしは教室を覗き込んだ。 


その中は脱け殻のように誰一人いなかった。


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