だから愛は嫌だ~虐げられた令嬢が訳あり英雄王子と偽装婚約して幸せになるまで~
24 今までとは違う私
【ご連絡】
23話と24話の間に、【ロバートSide】の話を追加しました。ややこして、すみません…!
***
それからの当主の代理として過ごす日々は、ディアナにとって忙しいだけではなく充実していた。
これまでディアナの父に仕えていた執事や事務担当者達は、ディアナに親切丁寧に仕事を教えてくれた。そして、ディアナも真剣に取り組んだため、ひと月も経てば当主代理が様になっていた。
事務担当者達は、「ディアナ様のおかげで仕事が捗ります」と喜んでくれているし、執事もサインをなんとかもらおうと父を追いかけなくてよくなり、笑顔が増えた。
(もう誰も、お父様が帰ってこないのを気にしなくなったわね)
父は父で、執事にうるさく言われなくなったのをいいことに、今まで以上に家に帰ってこなくなっている。
法律に詳しいグレッグは、分厚い本をめくりながら「このままディアナ様が、当主代理人を三年続けると、王家に当主の交代を申請できます。そして、その申請が通ればディアナ様が当主になることも可能です」と教えてくれた。
(そうなれば、この家で暮らすお母様も安心ね。でも、私が当主になる前に、やりとげないといけないことがあるわ)
ディアナは、封蝋に王家の紋章が押されていたパーティーへの招待状を手に取った。
この王太子妃殿下の誕生パーティーで、ライオネル殿下とディアナの婚約を正式に発表することになっている。
(絶対に失敗はできないわ。助けていただいたのだから、今度は私が必ず殿下のお役に立たないと)
ライオネルの婚約者として恥ずかしくないように、これまで以上に健康や美容に気をつけるようになった。
(ドレスも、王都で一番人気のデザイナーに数着お願いしたし、アクセサリーも高価なものを準備したから大丈夫よね?)
バデリー伯爵家は、とても裕福なので一流品をそろえることができる。
でも、元婚約者のロバートに言われた「もう少しマシなドレスはなかったのか? アクセサリーも安物っぽいな」という言葉が今さらディアナの不安をかき立てた。
悩んだ末に、ディアナは羽ペンを手に取った。手紙の送り先はライオネルだ。
(殿下のお手を煩わせて申し訳ないけど、やっぱり事前に服装を確認してもらいたいわ)
ロバートに、こんなお願いは決してできなかった。またため息をつかれて、怒られるのが分かっていたからだ。
(ライオネル殿下は、相談して怒るような方ではないもの。それに、「あなたは、これから俺の婚約者になる。困っていたら助けるのは当然だ」と言ってくださったから)
その言葉を信じて、ディアナは手紙を綴る。
――ライオネル殿下
パーティーに参加するためのドレスを、一緒に選んでいただけないでしょうか?
手紙を専属メイドのアンに託すと、すぐにライオネルの元へと届けられた。
23話と24話の間に、【ロバートSide】の話を追加しました。ややこして、すみません…!
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それからの当主の代理として過ごす日々は、ディアナにとって忙しいだけではなく充実していた。
これまでディアナの父に仕えていた執事や事務担当者達は、ディアナに親切丁寧に仕事を教えてくれた。そして、ディアナも真剣に取り組んだため、ひと月も経てば当主代理が様になっていた。
事務担当者達は、「ディアナ様のおかげで仕事が捗ります」と喜んでくれているし、執事もサインをなんとかもらおうと父を追いかけなくてよくなり、笑顔が増えた。
(もう誰も、お父様が帰ってこないのを気にしなくなったわね)
父は父で、執事にうるさく言われなくなったのをいいことに、今まで以上に家に帰ってこなくなっている。
法律に詳しいグレッグは、分厚い本をめくりながら「このままディアナ様が、当主代理人を三年続けると、王家に当主の交代を申請できます。そして、その申請が通ればディアナ様が当主になることも可能です」と教えてくれた。
(そうなれば、この家で暮らすお母様も安心ね。でも、私が当主になる前に、やりとげないといけないことがあるわ)
ディアナは、封蝋に王家の紋章が押されていたパーティーへの招待状を手に取った。
この王太子妃殿下の誕生パーティーで、ライオネル殿下とディアナの婚約を正式に発表することになっている。
(絶対に失敗はできないわ。助けていただいたのだから、今度は私が必ず殿下のお役に立たないと)
ライオネルの婚約者として恥ずかしくないように、これまで以上に健康や美容に気をつけるようになった。
(ドレスも、王都で一番人気のデザイナーに数着お願いしたし、アクセサリーも高価なものを準備したから大丈夫よね?)
バデリー伯爵家は、とても裕福なので一流品をそろえることができる。
でも、元婚約者のロバートに言われた「もう少しマシなドレスはなかったのか? アクセサリーも安物っぽいな」という言葉が今さらディアナの不安をかき立てた。
悩んだ末に、ディアナは羽ペンを手に取った。手紙の送り先はライオネルだ。
(殿下のお手を煩わせて申し訳ないけど、やっぱり事前に服装を確認してもらいたいわ)
ロバートに、こんなお願いは決してできなかった。またため息をつかれて、怒られるのが分かっていたからだ。
(ライオネル殿下は、相談して怒るような方ではないもの。それに、「あなたは、これから俺の婚約者になる。困っていたら助けるのは当然だ」と言ってくださったから)
その言葉を信じて、ディアナは手紙を綴る。
――ライオネル殿下
パーティーに参加するためのドレスを、一緒に選んでいただけないでしょうか?
手紙を専属メイドのアンに託すと、すぐにライオネルの元へと届けられた。