【ド短】君を好きな理由
 どういう連想なんだよ。

俺があっけにとられていると、さらに彼女のペース。


「皮ぎりぎりのところが一番甘いんですよね!」


 すでに授業での出来事から、焼き芋へと話が移っている。

他愛もないことに、俺はトクトクと胸が痛い。


 いっそのこと、寒さのせいにして、ぎゅっと抱きしめてはどうだろうか。


ヤマシイ俺の心は、いつだってそんなことばかりだ。


 まだ大切にしたい。

そんな頼りないキモチが小さなストッパーでもあり、命綱だ。


 気持ちを紛らわすようにぐるぐる巻いたマフラーを口元までひっぱりあげた。


しかし、何も答えないでいたからなのか、彼女の足がピタリと止まる。



「太一さんは、どこが……スキ、ですか?」


 いきなり何を言うんだ。

さっきまで邪な感情で埋め尽くされていたから、俺の心臓は過剰に反応する。


「ど、どうしたんだよ……」

 思いがけない質問に困惑してしまう。

彼女の一人ごとのような会話を、聞いてる振りして流していたから一体なんのことだかわからなくなっていた。


だからといってそれを馬鹿正直に話したら、彼女がショックを受けるだろうからそれとなく聞かなくては。

 焦る気持ちを必死に抑えて、彼女の次の言葉をまつ。


「だって、あたしばっかり好きみたい……」


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