幼なじみは狐の子。3〜その後の逆ハーレム〜
ペットショップを出た恋と律は海を見るために自転車で海側の道路へ向かった。
快晴。国道のその道路は自転車が通る道と歩道が整備されていて、恋達はゆったりのんびり自転車を漕いだ。
露店が沢山出ている海側の大きな橋で、恋と律はちょっと海を眺めようと自転車を停めて降りて歩き出した。
「太陽に水平線。船も走ってる。いい景色ですね。」
「ね」
日差しと砂浜と寄せては返す海岸線。
穏やかな景色に目を細めていると、後ろから声をかけられた。
「あの、ちょっとすみません」
「はい?」
カメラを提げたその人は、恋と律を見て、眩しそうに目を細めた。
「ちょっと、写真のモデルをお願いしたいんですけど、今いいですか?」
「モデル?今ですか?」
「いえ、事務所の方に……あの、お二人は雑誌モデルをされる気はありませんか?」
恋と律は顔を見合わせた。
「もしかしてスカウトですか?」
「ええ、お二人、すっごくお綺麗なんで。すぐ目に留まりました。」
「照れるなあ。僕たち、綺麗で当然なんですよ。だってあやかし……」
恋が慌てて手を伸ばして律の口を塞ぐと律はにっと笑った。
「別に平気ですよ。ちょっと驚かれるけど。死にやしない。僕は別に秘密にはしてませんよ。追い回された事もない。なんで恋は内緒にしてるんですか?」
そう聞いてから律はで?とスカウトマンを見返した。
「電話番号を教えて頂けますか?。折り返しお電話させて頂くので」
「どうする?」
恋が聞くと、律は首を傾げて、
「良いですよ。」
と言った。
恋と律はめいめい電話番号を教えてスカウトマンと別れた。