あなた専属になります

これからのこと

VIPルームで待つ河内さんの姿を見て、私の心は複雑だった。

私は仕方なく隣に座った。

「もしかして、店公認で専属になったんですか?私」

「ああ。そう言った。金も払った」

あっさりと答える河内さんに、私は深いため息をついた。

「お金の無駄ですよ……」

「お前も無駄な足掻きはやめろ」

何もかも金で解決されてしまう。

「俺がお前を専属にして、その金でお前が稼いで、滑稽だな」

「は!?」

「そうだろ?」

河内さんの余裕の笑み。

私はとうとう限界を迎えた。

「あなたがどこまでもそういう手段に出るなら、私にも考えがあります……」

「何だ?」

「私、風俗嬢になります」

河内さんが立ち上がった。

「本気で言ってるのか!?」

本気ではない。そんなのどんなに落ちぶれてもやる気はない。

「あなたが私を金で動かそうとするなら、私もそういう方向に動きます」

河内さんはソファに座り込んで俯いた。

「そんなに俺から離れたいのか?」

離れたいわけじゃない。

でも——

「この関係に未来はないじゃないですか」

その時、河内さんに抱きしめられた。

「勝手に未来を壊すなよ……」

壊す……?

「俺の考える間もなく勝手に判断して決めつけて……他の人間の言うことを信じて」

河内さんの想いに胸が苦しくなる。

「ごめんなさい……でも私、自信がないです」

「自信がない?」

「あなたにずっと想ってもらえるか……」

「俺は自信がある」

未来はわからない。

誰にも。

でもこの人の気持ちは信頼できる……気がする。

「それより、俺は優美が離れていく方が不安だ。だから、俺しか見えないようにさせてやる」

「はい?」

両方の手首を掴まれた。

ソファに倒されて唇が重なった。

それは今までにしたようなものではなく、生々しい感覚だった。

私は河内さんを突き放した。

「店でこんなことしてはいけません!!」

心臓が激しく高鳴っている。

「大切にするって言ったじゃないですか!」

「大切にしたのに逃げたからだ」

河内さんは真剣だった。

真剣に向き合ってくれていた。

河内さんは立ち上がった。

「今日、この仕事が終わったら家に来い」

そのまま河内さんは去った。

私の心は動揺して体が震えた。

怖いというより、河内さんの想いの深さに震えたんだ。

その後、佐久間さんのところに戻ろうとしたら、もう帰ってしまっていた。

せっかく指名してくれたのに申し訳なかった。

私は仕事が終わった後、河内さんのマンションに向かった。

ちゃんと話し合わないといけない。

これからのことを——
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