あなた専属になります
告白
私は急いで家に帰り、遅い時間にも関わらず、和室で茶道のお手前を一人でしていた。
河内さんはそんな私の姿をじっと見ている。
今日は何も聞かれない。
一つ一つの動作に集中し、余計な事を考えず、自分の心を整える。
立てた茶を自分で飲んで、一息ついた。
「落ち着いたか?」
「はい。ご心配おかけして申し訳ありません」
何かあったのなんて丸わかりだ。
何も問い詰めないでいてくれてるのがありがたかった。
河内さんは優しく抱きしめてくれた。
「不安にさせてごめんなさい」
「……無理するなよ」
無理して続ける必要はない。
転職すればいいだけ。
でも私は逃げたくなかった。
私自身でこの事を解決したかった。
転職してまた同じような事があるかもしれない。
なら、これは試練なんだ。
私が何があってもこの人との関係を守り抜く。
河内さんの腕の中でその日は眠った。
* * *
次の日の朝、母から連絡があった。
「お母さんどうしたの?」
「突然だけど、次の週末、お父さんと一緒にそっちに行くから」
なぜ?
「何かあったの?」
「河内さんに会いたいの」
え!?
「会ってどうするの……?」
「お話ししたい事があるの」
なんだろう……
「わかった。予定空いてるか聞いてみるよ」
その後電話を切って、既に出社している河内さんにメッセージを送って相談した。
そしたらすぐに『わかった』との返信があった。
そして私も会社に行った。
オフィスに着くと秋月さんは今日は体調が戻っているように感じた。
何事もなかったかのようにお互い仕事をしていた。
業務が終了して、エレベーターを降りようとした時、ふと秋月さんの声が聞こえた。
誰もいない打ち合わせスペースに、秋月さんと女性社員が居た。
「秋月さんの事が好きです」
突然出てきた言葉にびっくりした。
こんなところで告白するなんて……。
でも彼女は真剣だ。
何を考えてるか読めない秋月さんの表情。
「ごめん。好きな人いるから応えられない。」
好きな人って……。
胸がざわつく。
その女性社員はすぐに立ち去った。
私もそっとその場を離れようとした、その時
「見えてたよ。藤田さん」
後ろから声をかけられた。
最悪だ……。
「すみません声が聞こえて気になって」
ゆっくりと秋月さんが近づいてきた。
「私もう帰ります。失礼しました!」
私が立ち去ろうとすると、
「俺の気持ちわかってるよね」
秋月さんの言葉に体が動けなくなった。
「別に付き合ってほしいとか、そんなんじゃない。でも……」
私の目の前まできた秋月さんの瞳に憂いが見える。
「ただ知っていて欲しかった」
そのまま秋月さんは行ってしまった。
その背中はどこか寂しげだった。
河内さんはそんな私の姿をじっと見ている。
今日は何も聞かれない。
一つ一つの動作に集中し、余計な事を考えず、自分の心を整える。
立てた茶を自分で飲んで、一息ついた。
「落ち着いたか?」
「はい。ご心配おかけして申し訳ありません」
何かあったのなんて丸わかりだ。
何も問い詰めないでいてくれてるのがありがたかった。
河内さんは優しく抱きしめてくれた。
「不安にさせてごめんなさい」
「……無理するなよ」
無理して続ける必要はない。
転職すればいいだけ。
でも私は逃げたくなかった。
私自身でこの事を解決したかった。
転職してまた同じような事があるかもしれない。
なら、これは試練なんだ。
私が何があってもこの人との関係を守り抜く。
河内さんの腕の中でその日は眠った。
* * *
次の日の朝、母から連絡があった。
「お母さんどうしたの?」
「突然だけど、次の週末、お父さんと一緒にそっちに行くから」
なぜ?
「何かあったの?」
「河内さんに会いたいの」
え!?
「会ってどうするの……?」
「お話ししたい事があるの」
なんだろう……
「わかった。予定空いてるか聞いてみるよ」
その後電話を切って、既に出社している河内さんにメッセージを送って相談した。
そしたらすぐに『わかった』との返信があった。
そして私も会社に行った。
オフィスに着くと秋月さんは今日は体調が戻っているように感じた。
何事もなかったかのようにお互い仕事をしていた。
業務が終了して、エレベーターを降りようとした時、ふと秋月さんの声が聞こえた。
誰もいない打ち合わせスペースに、秋月さんと女性社員が居た。
「秋月さんの事が好きです」
突然出てきた言葉にびっくりした。
こんなところで告白するなんて……。
でも彼女は真剣だ。
何を考えてるか読めない秋月さんの表情。
「ごめん。好きな人いるから応えられない。」
好きな人って……。
胸がざわつく。
その女性社員はすぐに立ち去った。
私もそっとその場を離れようとした、その時
「見えてたよ。藤田さん」
後ろから声をかけられた。
最悪だ……。
「すみません声が聞こえて気になって」
ゆっくりと秋月さんが近づいてきた。
「私もう帰ります。失礼しました!」
私が立ち去ろうとすると、
「俺の気持ちわかってるよね」
秋月さんの言葉に体が動けなくなった。
「別に付き合ってほしいとか、そんなんじゃない。でも……」
私の目の前まできた秋月さんの瞳に憂いが見える。
「ただ知っていて欲しかった」
そのまま秋月さんは行ってしまった。
その背中はどこか寂しげだった。