再会は小さなぬくもりと一緒に

(よし、予約取れた)

金曜日の朝八時半。動物病院の予約が始まったので出勤途中の車内で予約を取った。
無事夕方六時の枠を確保する。

『予約取りました、お願いします』
さっきまで一緒に居た彼にスクリーンショットを送ると『OK』のスタンプが返ってきた。


あの子猫は順調に成長していて、私から見ても何も問題無いように思う。きちんと毎日生後半年ほどの規定量は完食し、トイレの粗相を一度もない。愛嬌を振りまき、晴和さんは彼女にメロメロと言うべきか。ともかく可愛がっている。

ただちょっとお腹に肉がついてきた気がするので、むしろハルと一緒にダイエットをしなければいけないかも知れない。



『正直仕事よりドキドキしてる』

その返事に、今朝のうんざりとした晴和さんの姿が思い出す。

『あーリュミエールの山下さん、嫌だなぁ。莉佳子のこと大分好きそうだし』
と私を見ながら、険しい顔を浮かべていた。

(リュミエールの山下さん、どんな人だったかな……)

一度だけ山下さんを遠くから見たことがある。
元々リュミエールは山下さんのお兄さんが経営していたけれど、別テイストのブランドの経営に乗り出すとかで山下さんに経営を譲ったらしい。そのブランドも、確かそこそこ有名に成長しているはずだ。

その時の彼女は、身体のしなやかなラインが出るパンツスーツに煌びやかな三連パールのネックレス、足元は高いヒールと『戦闘力高め』という強烈な印象で、何というか自分と縁は無いと思っていた。

それに向こうはきっと私のことは視界にすら入っていないだろう。何度か他の仕事でリュミエールの営業部とやり取りはあったが、山下さんと直々にはやり取りをしたこともないので、どんな感じの人なのかもイマイチわかりかねる。

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