再会は小さなぬくもりと一緒に
「おじいちゃん!」
会社を出てタクシーを捕まえて真っ先に向かったのは病院。不在着信は病院からで、救急に来た祖父が入院することになったという内容だったのだ。

『伊藤肇』とネームプレートが掲げられた病室は個室で、そこのベッドで横たわる祖父は足にギブスをしている。

「莉佳子、ごめんなぁ」
祖父の声は元気そう。照れ笑いしながらも、目の奥には申し訳なさが滲んでいる。

「私は別に。ていうか本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。ただ打ちどころが悪かったのと……ほら、元々の病気がなぁ」
「そうだよ、今回も原因は高血圧でしょ?もっと運動してって言ってるじゃん」

今回祖父は友達と外出中、急な頭痛とめまいによろけたところ、駅の階段を踏み外したらしい。
実は何度か高血圧で倒れた過去があるので、正直私的には『またか』という感じだ。しかし足の指を骨折するとは思ってもみなかったけれど。


「それで、これからどうなるの?」
「まぁしばらく入院だなぁ。血圧が安定せんと返せんと言われてしもうたしなぁ」
「そっか、じゃあ持ってくるものない?」
「とりあえず今日はもういい。申し訳ないが明日色々持って来るの頼んでよいか?」
「わかった。後でメールして。それでお母さんには言った?」
「とりあえず『足の指を骨折して入院した』とだけ伝えてもらえば……」
「あーうん、わかった」

どうなら実の娘である母には言いたくないらしい。そりゃそうだ、説教一時間コースになるのは間違いない。
まぁ言ったところで、現在電車を乗り継ぎ半日の距離に住んでいるので、どうにもならない距離ではある。

「それよりも心配なのは……」

祖父が顔を曇らせた。
心配なのは、祖父の同居している猫の『ハル』だろう。

「じゃあ帰り、家に寄って帰るから」
「わかった。しばらくはよろしく頼む」


思ったより元気そうな祖父に安堵しながら、私は病院を出て祖父の家に向かった。
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